地方自治は〇〇〇〇の学校

民主主義って何だ!?

「地方自治は○○○○の学校」と呼ばれます。空欄に入る言葉は?

正解は「民主主義」です。

これはジェームズ・ブライスの言葉です。中3の公民の教科書にも出てきます。

民主主義とは、簡単に言えば「みんなで話し合って、みんなで決めたルールを、みんなで守っていく」ことです。

その際、数の力で少数派を押さえつけるのはルール違反です。小さな声であっても議論の俎上に載せ、互いに納得した上で意思決定をしていきます。

残念ながら日本の場合、国の政治では、小さな声は大きな力の前にかき消されてしまいます。すると「意見を言っても、どうせ変わらない」と、無力感が広がり、無関心層が拡大します。さらに「声をあげる奴は現実を知らないバカ」と揶揄する冷笑系も増えていき、自分の意見を表明する人が減って、民主主義は衰えます。

しかし、地方自治では「小さな声でも、みんなの力を集めれば無視できない」という状況を作り出すことが可能です。小さな自治体の議員選挙では100票前後の得票で当落選が決まることもあり、1人の声でも無視できません。それが10人20人になれば、さらに大きな力になります。

市町村議に陳情することも容易です(近所でよく見るおじさんが議員だった、なんてこともあります)。もし自分の声が自治体に届いて何かが変われば、「声をあげることは無駄じゃない」という実感を得ることができます。

地方自治において、自分たちの力で何かを変えるために行動することは、まさに民主主義の実践です。その経験から学び、「自分たちも社会を変えることができる」と考える人が増えれば、無関心や冷笑を減らしていくことができるはずです。「地方自治は民主主義の学校」という言葉は、テストで点数を取るために覚える言葉ではなく、私たちが民主主義社会を作っていくために必要な言葉のようです。

給食無料化は地方自治の試金石

そこで注目されるのが給食無料化です。

「給食無料化よりも教員不足の方が深刻な問題だ!」と思うかもしれません。しかし、給食無料化を地方行政への要求として掲げることは、問題の深刻さとは別の、大きな意義があります。

①誰もが一致できる要求である

給食が無料になって困る人はいません。「そのせいで福祉予算が削られたら困る!」と思う人もいるかもしれませんが、それは論点ずらしの罠にはまっている状態です。「教育と福祉に予算の奪い合いをさせる」という前提自体が間違っているのです。

「教育と福祉に関する予算を最優先し、年度末の道路工事(もちろん必要なものもありますなど、別の支出を減らせ」と声をあげ、予算を削らせないことも民主主義の力です。予算は、声をあげる人が少なく、削りやすいところから削られます。そうさせないためには、声をあげる人を増やすしかありません。

公共事業で利益を得る人は「給食費に回すより、道路工事を増やせ」と、内心は思うかもしれませんが、「子どもたちの給食より自分の利益の方が大事」とは言えないでしょう。とりわけ今は空前の物価高です。年間約5万円の給食費減免は、家計にとって大きな助けとなるはずです。

②お金さえ出せば実現可能

教員不足の解消には、人を探すこと、教育現場の慣習を変えることなど、クリアすべき さまざまな課題があります。しかし、給食無料化は、自治体が本気になってお金さえ出せば実現可能です。必要経費は自治体の予算の約1%程度です。それを出すことを「決断をするか、しないか」だけの問題です。

政治家は応援してくれる人の利益を実現するために努力します(本当はそれじゃダメなんですけど、残念ながら日本では民主主義が成熟していないので)。建設会社に支援されていれば、その業界への予算を厚くするよう努力するわけです。

逆を言えば、多くの人が「給食費が無料になるなら、その方がいいよね」と心の中で思っていても現実は変わりませんが、「給食を無料化せよ」と声をあげる人が増えれば、政治家もそこに予算をつけようと頑張らざるをえなくなるということです。

③まずは小さな一歩から

全群教は「学校給食の無料化をめざす会」の会員でもあります。

給食無料化という要求を勝ち取ることは、現状の社会を一歩、良い方向に変えることです。私たちは微力かもしれませんが、無力ではありません。誰にとってもメリットのあるこの要求を実現することで、私たちは「社会を少し変えることができた」という自信と経験を得ることができます。

民主主義のルールの下で、主権を行使する大切さを学び、社会をもっとよい方向に変えていく第一歩となるはずです。

群馬は給食無料化先進県

意外かもしれませんが、実は、群馬は給食無料化先進県です。

【全額無料 15】
①南牧村 ②上野村 ③神流町 ④嬬恋村 ⑤みどり市 ⑥渋川市 ⑦板倉町 ⑧草津町 ⑨東吾妻町 ⑩長野原町 ⑪中之条町 ⑫下仁田町 ⑬甘楽町 ⑭高山村 ⑮太田市
【一部助成 6】
①明和町 ②吉岡町 ③大泉町 ④昭和村 ⑤邑楽町 ⑥千代田町
【条件付助成 12】
①前橋市 ②榛東村 ③片品村 ④桐生市 ⑤富岡市 ⑥伊勢崎市 ⑦安中市 ⑧館林市 ⑨玉村町 ⑩藤岡市 ⑪沼田市 ⑫みなかみ町
【未実施 2】
①高崎市 ②川場村

もちろん、自然にそうなったわけではなく、「学校給食の無料化をめざす会」が活発に活動している成果です。まさに民主主義を体現しています。

【2023年4月から、現在(3月)より改善する市町村】
①千代田町「半額補助」
②みなかみ町「第3子全額補助」
③玉村町「第2子以降全額補助」
④前橋市「18歳未満の子3人以上養育している第3子以降全額補助」
⑤沼田市「中3全額補助」
⑥藤岡市「第2子以降全額補助」
⑦太田市「全額無料」

今年は統一地方選

私たちが享受している文明の恩恵は当たり前のものではありません。すべて先人たちが築き上げてきた遺産であり、私たちはその遺産の相続人です。

選挙権も、請願権も、労働組合を作る権利も、学校給食も、昔はなかったものです。それらの権利は天から降ってきたものではなく、すべて先人たちが勝ち取ってきたものであり、私たちに託された遺産です。

私たちはその遺産を食い潰すのではなく、よりよいものにして次の世代に繋いでいく義務があります。

今年は統一地方選挙です。つまり、首長も議員も「市民の要求」に敏感になる年です。(普段からもっと敏感になれ、と思いますが…)

声をあげ、首長候補や議員候補に給食無料化を約束させませんか?

「民主主義の学校」で一緒に声をあげ、学んでいきましょう。

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