教育機関を利用したマイナンバーカード普及促進事業に関する要求書

3月16日 群馬県教育長あて
3月22日 群馬県知事あて

全群馬教職員組合と群馬県高等学校教職員組合の連名で要求書を提出し、主旨説明をしてきました。

中嶋哲彦名古屋大名誉教授が言うように、「学校は政府の主張を実現するための機関ではない」ということに尽きます。(なぜ学校が政府の広報機関になってはいけないのか、については過去記事参照)

そもそもなぜ、こんなことをいつまでも言い続けなければならないのでしょう?

国会で『取得は任意』と決まったのだから、本当ならそこで話は終わりです。にもかかわらず、政府はあの手この手で事実上の強制化を進め、取得率で自治体を競わせています。だから「世帯全員がカードを作ったら給食費無料」などという、市民の自己決定権を踏みにじることを行う自治体まで出てきているのです。

群馬県もとうとう、「学校で広報する」という禁じ手を使おうとしています。全群教と群馬高教組は共同で要求書を提出し、交渉してきました。

県教委(3月16日)

「業務プロセス改革課」から、具体的な政策が降りてきた段階で対応する。現段階では何も言えないが、強制にならないようにする。

業務プロセス改革課(3月22日)

学校で政府の広報をすることに問題があるとは思わない。要求は、意見として伺っておく。「強制」ととられないよう、十分注意する。学校でやるとしても、教員を人的リソースとして使うことはしない。

「教育が政府の広報機関になってはならない」と主張する私たちと、「問題ない」とする県との間で、議論は平行線でしたが、「強制してはならない」「教員は使わない」という確認はできました。

「強制しない」と言っても、教委から通知が来れば、校長が忖度して「生徒たちに強く勧めてください」と、先生たちに言う可能性があります。「先生たちを労働力として使わない」と言っても、現場で何となく先生たちが使われてしまう可能性もあります。

そういった可能性も十分考慮した上で、教委に協力を要請するよう確認しました。(教委に協力要請をしないことが本来の要求であり、それは変わりません。もしどうしても「要請する」というのであれば、ということです)

また県教委とは、「組合と業務プロセス改革課との間で、『強制ととられないよう十分注意すること』『教員を人的リソースとして使わないこと』を確認したので、通知を出すときにはそれがしっかり現場に伝わるようにしてほしい」と再確認しました。

民主主義の手続きを無視し、「政府の政策を浸透させるために学校を利用する」ことの問題を、もっと多くの人に知っていただきたいと思います。「新しい戦前」にしないために。

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