第36回定期大会(2024.6.8)概要

大会宣言

とまらない未配置の問題に
「募集はかけているし、魅力動画をつくっている。それが対策だ」
と言い張っていた人がいる

要請訪問を行える人員がいるなら、現場の未配置に回してくれと頼むと
「こっちはこっちの仕事があるから無理だ」
と言い張っていた人がいる

多忙化解消が重点だと言ったので
せめて低学年の体力テストをやめるのはどうかと提案すると
「成果があることはやめない」
とデータも示さずに言い張っていた人がいる

表面だけをとりつくろって成果を考えない対策があたりまえで
自分でなんとかすることをせまられる現場があたりまえで
困っていることに耳をかすことのできない姿勢があたりまえで

みんな困っているんだ だからどうしようもないんだ
ということが「あたりまえ」になってしまった いまの学校

教育も 子育ても 仕事も 老後も 病気も 災害も そして 平和ですらも
なにもかもが自己責任 だれも助けてくれないのなら なんのための行政だ

わたしたちは 子どもたちに そんな「あたりまえ」を語ることはできない

だれかが苦しんだり 悲しんだりしていることに 心を痛めることの大切さを
みんなが幸せになることに みんなで知恵を出し合えることの大切さを
「しょうがない」で終わらせず できることを自分の頭で考えることの大切さを

そんな「あたりまえ」を 子どもたちに語れる教師でありたい
そんな「あたりまえ」を声にして 行政をゆさぶる組織でありたい

目の前の子どもたちと あたりまえに笑い合える学校をつくりたい

その日々の営みは きっと
クラスを変え 学校を変え 政治を変え 社会を変え 大きな力になるはずだ

終わらない戦争に心を痛める
終わらせる方法はないのか 始めない方法はなかったか
考え続けていくことしかできないし 考え続けていかなければならない
犠牲になるのはいつも 弱い立場の子どもたち
子どもたちを戦争に巻き込むような そんな行政は許さない
10年後の平和は いつも目の前の教室から始まる
わたしたちは教え子を 二度と戦場には送らない

以上 宣言します

2024年6月8日
全群馬教職員組合 第36回定期大会

執行委員長あいさつ

中教審特別部会「審議のまとめ」の内容が報道されている。長時間労働の問題を教職調整額の問題にすり替える酷い内容。しかも、「メリハリのある賃金体系」を言い訳として、教員の分断を図るもの。到底認められない。声をあげていかないといけない。

来賓(県労会議)あいさつ

実質賃金が25ヵ月連続で低下している。春闘では大企業を中心に大幅な賃上げをとなっているが、人事評価が徹底していて個人で差がある。誰がいくら上がっているか、同じ会社で働いていてもわからない。自民党の裏金問題については何も対処されていない。企業団体献金を禁止しなければ根本的な解決にはならない。

各国で戦争をしている。日本は憲法9条を各国に訴えていく必要がある。「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンがとても大切になってきている。

全教本部より情勢報告

中教審特別部会の審議のまとめに大変な怒りが広がっている。学校現場の悲鳴にまったく応えるものではなく、中教審の責任は重大。文科省がNHKの報道に対して抗議したことにも批判の声があがっている。全教は文科省に抗議の申し入れをした。

「このままでは学校がもたない」という危機感は中教審も認めざるを得ない。しかし、結論ありきなので、審議のまとめは迷走している。

問題点を5つ指摘

  1. 「教育に予算を費やす」という政策への転換をしなかった。基礎定数ではなく、加配定数を増やすとしている。加配定数は単年度予算であり、教委は正規採用を増やすことができない。臨時や非常勤の先生を充てることになり、ますます教員不足につながる。
  2. 長時間労働に法的な歯止めをかける残業代支給を否定。「在校等時間」という概念を作り出し、45時間に減らす、20時間に減らすと躍起になっているのに、「勤務時間管理はできない」と述べるのは全くの矛盾。教職調整額を上げることに長時間労働抑制効果は全くなく、むしろ長時間労働を容認・助長する恐れがある。給特法が制定された50年前の国会議事録には「心配しなくても、無定量の長時間労働にはならない」という答弁が記録されている。この50年、その答弁は間違いであったことが証明され続けてきたのに、また同じ理屈が述べられている。安保3文書には「我が国と郷土を愛する心を養うこと」が防衛政策に位置づけられている。将来に渡って政府の意に沿う教員、政府や経済界にとって都合のよい人材づくりを、使命感をもってやり続けなさいということの危険性は一層高まっている。
  3. 処遇の改善と称して、学級担任手当や「新たな職」を置き、給料表の新たな級を設けることは教職員の序列化、上意下達の学校、言われた通りにやればよいという教員づくりを狙っていると見るべき。このような分断が教育には有害であるということを保護者や市民のみなさんに理解してもらうことが大切。学校教育法では「教員は子どもたちの教育をつかさどる」と定められている。これは2006年に改悪される以前の教育基本法「教育は国民に直接に責任を負って行われる」という規定と響き合っている。それは子どもたちを前にして、「言われた通りにやればよい」という働き方ではない、ということ。上の指示を受けて教育活動をする、指揮命令系統を確立するということは、子どもたちの現実に向き合うよりも、誰かの指示に従え、画一的な教育で結構ということが狙われている。
  4. 時間外勤務を「ないことにする」という給特法体制は、むしろ政府方針の先取り。今、政府・財界が8時間労働という労働時間のルールの適用除外を増やす、職場ごとの労使のコミュニケーション、労使自治という聞こえのよさそうな言葉を使って、労働時間規制、労働基準法の規制緩和を狙っている。この動きから見れば、労基法の時間外手当規定を適用除外している学校の働き方はむしろ先進例。
  5. 5月21日に財政審の建議が発表された。教員の処遇改善は一律アップはダメ、人件費の総額は増やさないメリハリある賃金体系、加配定数増にも注文をつけている。文科省対財務省という構図を作ることで、抜本的な改革を求める私たちの声を排除して、小手先の改革に議論を矮小化させるのが狙い。

教育の現場から、そして全労働者の課題として、国民的な大運動で政府の思惑を跳ね返すことが重要。審議のまとめには、教育委員会や校長も「たまったもんじゃない」と思っているのではないか。教委への訪問、地方議会への意見書採択などの取り組みも引き続き呼び掛ける。教育大運動1741とも連動させて、国の思惑を跳ね返さなければならない。

私が教員になった時、「こんないい仕事はない」と思った。なぜよい仕事なのか、的確に表した言葉に出会った。熊沢誠さんが「能力主義と企業社会」という本の中で、良い職場とは長く働き続けられる職場であると指摘した上で、その条件として3つあげている。その3つとは、ゆとり、仲間、仕事における自己決定権つまり自由。それが学校という職場に確実にあった。だから私はこんなよい職場はないと思った。そしてこの3つをことごとくはぎ取ろうとしてきたのが、この間の教育改革、特に安倍政権が執着した教育再生という名の改革だった。それが何をもたらしたのかと言えば、長時間労働と教職員未配置という深刻な現状。今回の審議のまとめはその危機感から出発しているが、安倍教育再生を踏襲するものとなっている。

私たちはどういう社会を未来の世代に引き継ぐのか、あるいは目の前の子どもたちとともにどんな社会を作っていくのか、教職員である私たちが子どもたちから問われている。そしてそれは1人で頑張り切ることはできない。だからこそ組合の存在意義がある。

スローガン

教え子を再び戦場に送るな!

1,対話と共同を広げ、全群教の組織を大きくしよう。

2,教職員を増やし、長時間過密労働を解消して、教職員の命と健康・権利を守ろう。

3,戦争する国づくりに反対し、平和な社会を子どもたちに手わたそう。

4,憲法と子どもの権利条約をいかし、子どもの成長・発達を保障する教育を広げよう。

5,憲法違反の「戦争法」廃止を求め、 立憲主義、民主主義を取り戻そう。

6,30人以下学級の実現を求め、教育費無償化を前進させ、ゆきとどいた教育を。

7,原発ゼロの安全な未来を子どもたちに手わたそう。

8,貧困と格差の拡大を許さず、だれもが人間として大切にされる社会を実現しよう。

9,子どもたちを殺すな! ウクライナ侵略、ガザ虐殺、ミャンマー軍政 あらゆる戦争と破壊に抗おう。

10,憲法をくらしにいかし、平和・民主主義・人権を守り発展させよう。

Follow me!