ネット出願にかかわる緊急要求書

9月20日(金)県教委高校教育課交渉

①拙速な導入で、仕事の見通しを立てられず、現場は非常に不安である。

一例として、「10月7日までに保護者のメール登録してもらう」という通知が9月19日に来た学校がある。保護者会や三者面談の日程設定にも関わるので、直前に言われると非常に困る。現場は進路事務だけやっているわけではなく、突然の決定は非常に混乱するし、不信感を抱かせる。「それは教委にとっても好ましくないはずである」と伝えました。
※そもそも今年度大幅に変わる制度なのに、教員向けの説明会が10月10日で対応できるはずがありません。

②トラブルや問い合わせへの対応は県教委の責任で行うこと。

ヘルプデスクを設置するとのことなので、「保護者から問い合わせが来たらすべてそちらに回します」と伝えました。こちらが分かっていないことを適当に答えるわけにはいきません。県教委側は「7月頃から色々と通知を出している」と言っていましたが、「でも実態として、現場は大混乱しています」と伝えました。(県教委側も7月にはまだ全体像ができていなかったことを認めています。やはり、見切り発車の感は否めません)

心配なのは、現場が「自分たちで何とかしなければならない」と無理をしてしまうことです。組合と教委で合意しても、現場が忖度して合意を活用しないことがよくあります。組合として「問い合わせは県に回す」と約束してきましたので、校長や同僚にも伝えてあげてください。

③外国籍など、弱い立場の子どもたちが不利益を被らないようにすること。

東毛地区などでは、40カ国以上の人たちが暮らしており、到底すべての言語に対応することはできません。弱い立場の子どもたちが置き去りにされている現状があります。これは教委だけを責めても仕方のない問題ですが、教委も組合と一緒に「もっと教育予算を増やせ!」と声をあげてほしいものです。

④何かを大きく変えるときは組合に相談せよ。

直接話して分かったことは、「担当は善意でやっているらしい…」ということです。WEB出願最大のメリットは「教員が直接出願に行かなくてよくなる」ということだそうです(郵送をOKにすれば済む話ですが)。「以前からやりたかったが、ようやく予算がついてできるようになった」とのことです(教員の増員や施設の修繕ではなく、デジタルばかり優先的に予算をつけるやり方は問題です)

「であれば、そういうことをちゃんと説明すべきだ。そしてそうだとしても進め方が拙速だ」と伝えました。私たちは毎年の確定交渉で入試事務軽減に関する要求も出していますが、その場ではこの件に関して一切言及がありませんでした。現場の代表である組合に相談せず、勝手に決めて一方的に降ろすパターナルなやり方ばかりしているからこうなるのです。
※パターナル(paternal)・パターナリズム(paternalism)…強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意思は問わずに介入・干渉・支援すること。

WEB出願のテスト登録に関するトラブル

11月1日から公立高校入試WEB出願のテスト登録が行われていますが、トラブルが続出しています。

保護者から学校への問い合わせ

・認証コードが書かれたメールが届かない。
・登録の仕方が分からない。
・ソフトバンクユーザーにテストメール配信が届かない。
・顔写真登録についての質問が殺到。
・インタビューシートのダミーがアップロードできない。

保護者がヘルプデスクに問い合わせた結果

・ヘルプデスクがパンクして、繋がるまで30分待ち続けた。
・まったく繋がらないので、結局学校へ問い合わせ。
・ヘルプデスク開設が17時までなので、結局学校へ問い合わせ。
・挙句の果てに「今回はテスト登録だから、完了できなくても問題ない」と言われた。
※「やれ」と言うからやったのに、うまくいかずに質問したら「今回はできなくても問題ない」と言われれば、保護者の方も怒ります。無責任にもほどがあります。本番でもできなかったらどうする気なのでしょう。

学校で増えた負担

・保護者にスマホを持参してもらい、個別に対応。
・ヘルプデスクが機能していないので、結局学校で対応。
・10月10日に初めて説明を受けたことを、11月には生徒・保護者に教えなければならない。
・三者面談や進路説明会に関する予定の変更。
・住所登録からの確認作業や差し戻し作業に関する事務が純増。
・今まで学年で対応していた確認作業を担任が行わねばならないため、担任の負担増。
・調査書の仮登録エラーへの対応。
・インタビューシートのオンライン対応。
・G-smart(GunmaのWEB出願システム)への対応のため、時間的・体力的だけでなく精神的にも疲弊している。

教師は、自ら「子どもたちのため」と思ってする仕事は大変であっても、「辛い」とか「嫌だ」とは感じません。しかし、上から一方的に降りてきた不要な負担は教師の精神を蝕みます。このような現場の意見を聞かない、上からの押し付け仕事が教師の仕事から創造性とやりがいを奪い、教員不足を引き起こしています。

「長時間労働の解消や教員不足の解消は喫緊の課題」と言いながら、現場に、もともとはなかった負担をどんどん押し付けてくるのですから、矛盾としか言いようがありません。

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