ぐんま教育のつどい2024(報告)
目次
全体会(子どもも先生も安心できる学校を)

村越芳美弁護士を招いて、「子どもも先生も安心できる学校を」をテーマに講演していただきました。今学校は、子どもにとっても、教職員にとっても、安心できる楽しい場所ではなくなっています。
教育を受ける権利は、子どもが「個人として尊重」されるために不可欠。
重要なのは、子どもが主体的に学んでいくこと。子どもの個性を伸ばすこと。教育の役割はそれを助けること。
憲法とは権力者が守るべきもの。公立学校(つまり私たち教師)は、子どもたちにとっては『権力者』。
教職員にももちろん「人権」がある。
学校は「無法地帯」ではない。学校にも当然、法律が適用される。
子どもの権利も教職員の権利も、しっかりと守られるべき。(二項対立に陥ってはダメ)
2023年度の小中学校の不登校児童生徒数は約34万6千人、公立学校教職員の病気休職者数は7,119人です(文科省調査)。今まで不登校児童生徒は「ワガママ」、精神疾患の教職員は「メンタルが弱い」などと、個人の責任にされがちでしたが、この数を見れば「個人の責任」などではなく、原因は「教育政策の誤り」であることは明らかです。
組合として、教育政策の誤りを批判するとともに、「今苦しんでいる人」を支えていく必要があります。なぜ子どもにとっても、教職員にとっても学校が息苦しい場所になっているのか。実は、憲法や法律、あるいは子どもの権利条約に照らして考えると、その正体が見えてきます。
私たちが学校で何となく「おかしいな」「苦しいな」と感じていることは、これらの法令に反している場合がとても多いのです。『法』を知ることで、おかしいことの正体が見えてきます。「おかしいなとは思っていたけど、それは違法だったからなんだ!」と気づくことがたくさんあります。
おかしいことの正体が分かったら長時間労働がなくなるわけではありません。しかし、漠然とした不安は軽減されるのではないでしょうか。モヤモヤした不安の正体が見えてくる、そんな素敵な講演でした。
分散会① 手作りおもちゃで遊ぼう

「学び」の原点は「遊び」です。「スクール(school)」の語源は、ギリシャ語の「スコレー(scholé)」で、「余暇」「学ぶ場所」という意味があります。学ぶことは人間にとって喜びであり、本来楽しいもののはずなのに、日本では難しい顔をして苦しむことが『勉強』と思われがちです。
子どもたちも参加して、とても楽しい、本当の意味での勉強になる分散会でした。
今回は保育をお願いしたため(組合員のパートナーの元保育士さんにお願いしました)、普段は学習会などになかなか参加できない方も来ていただけました。ある程度大きい子は全体会の間のみ保育をお願いし、子どもは分散会①に参加、保護者は別の分散会に参加ということもできました。
分散会② 紙芝居を使った実践

原田恒弘さんの実体験を紙芝居にした「前橋くうしゅう わたしの八月五日」を使った授業実践の発表と交流で活発な意見交換がされました。本当に素晴らしい紙芝居なので、多くの先生に活用してほしいです。
近年はICTの活用が叫ばれ、無意味な使用例も多々あります(全群教は教委と「必要に応じて個々の教員の判断で使用する」と合意していますが、現場では「とにかく使え」という圧力がいまだにあります)。
しかし紙芝居を動画で見せるのと、実際に先生が読んであげるのとでは、子どもたちの反応はまったく違うことは簡単に想像できると思います。本当の授業とは、教師と子どもたちとのコミュニケーションの中で創っていくものだと改めて感じる発表でした。
レポート:紙芝居「前橋くうしゅう わたしの八月五日」を使った実践
おまけ:紙芝居「はだしのゲン」を使った実践
分散会③ 特別支援教育

小学校の特別支援学級における実践を元に交流し、共感と感嘆の声が溢れました。レポートタイトルは「『クラス』という集団をつくること ~グズを言いながら育っていく子どもたち~」
8人(※特別支援学級で8人は多過ぎます。これは国基準のギリギリで、全群教はせめて6人にするよう要求しています)のクラスを担任し、一人一人の個性を尊重し、じっくりゆっくり子どもたちに向き合ってきた1年間の報告です。私たちはこうして子どもたちに向き合う教育を実現しようとしています。しかしそれを個々の教師の努力と工夫に頼っているのが日本の現状であり、それは持続可能とは言えません。教育予算を増やし、個々の教師がゆとりをもって子どもたちと向き合える社会にしていくことが必要です。
感想(全体会)
私たち公立学校職員は、子どもたちや保護者からみれば「権力者」であるのだと、改めて感じました。「全体の奉仕者」として、子どもたちや保護者の権利を守れる先生になりたいと思いました。その中でも、度を超える要求をする子どもや保護者に対して、ハッキリと線引きをして対応ができるとよいと思いました。
先生が何度もスライドに表してくださった「学校は無法地帯ではない」という言葉が響きました。子どもたちを個人として尊重しつつ、自分たちのことも守っていくことが大切だと思いました。
今日は参加させていただいて本当に良かったです。特にスライド43(守られるべき教職員の権利)について元気をもらいました。学校は言われっぱなし、やられっぱなしのことが多々あり、理不尽さばかりを感じていました。しかし今後は、守られるべき教職員の権利を遠慮なく主張していきたいと思います。良い刺激をいただき、いつもより楽しく通勤できそうです。ありがとうございました。
子どもの権利・教職員の権利それぞれの大切さを改めて感じられたお話でした。学校にもしっかりと法律が入っていることを意識して、子どもが安心して学び、教員がやる気をもって働ける職場となっていくことが望ましいと思いました。
法律の視点から見た話しで、とても勉強になりました。
家庭の都合で途中から参加しましたが、初めから参加すればよかったなと思うほど、とても勉強になりました。
村越さんの講義は普段から聞いているが、公務関係についての法律講義は初めてだった。でも特別な事案を除いては労基法の中身で変わらないことが理解できた。よく分からなかったのは教員に適用される給特法。これを早く改正させ、残業代をきちんと支払わせることによって、教職員の増員につなげることが必要だと思う。
憲法や権利について基礎から学べてよかったです。先生の意見に通ずるのだと思うのですが、私は「道徳科」の授業なんかより、憲法の授業をすべき(国は人権を守っているのか等)だと思っています。政治的中立を、日本では「政権批判しないこと」と解する人が多いが、政権を批判的に評価できることが政治的中立だと思っています。
法律は仰々しいもの、というようなイメージがあって、あまり関係ないかな…と感じていたのですが、先生の話を聞くと、生き生きしているというか、人間臭さがあるというか、ちゃんと知っておくのが大切だと感じました。
子どもも教師も「楽しい学校」を創っていきたいです。峯岸さん、田中さんの話、そして、司会者とのハーモニーがすばらしかった。明日からの学校が少しでも楽しくなる気がします。紙芝居の実践、朝の連続小説のすすめ、気になる分科会が…。村越さんの話(クイズもあり、参加できてよかった)、子どもが主体的に学んでいくことが大切だとよく分かった。
詳しい法律の名前や、具体例をもとに話をしてくださったので、難しい内容でもすっと頭に入ってきました。自分自身が法律をもっと知ることで勤務しやすくなる面もあると思います。身内の不祥事を隠す国民性がありますが、学校内にもっと法律を守る雰囲気が必要だと思いました。
あらためて、学校生活でも法律が身近に存在するということに気づかされました。また、新たに得た知識も多く、大変勉強になりました。子どもたちを守るための法律やきまりも、絶対的・普遍的なものではなく、時代の流れや子どもたちの置かれている環境の変化にも敏感でなくてはならないと思いました。
人権について学ぶことができて良かったです。私ももう一度見直しをしたいです。
子どもにも教職員にも守られるべき権利があることを再確認することができました。不法領得の意思によって犯罪の種類が変わるということを初めて知り驚きました。法律や憲法を知っているのと知らないのとでは、子どもへの対応や教職員の働きやすさに影響があると思うので、もっと法律や憲法について知識を深めたいです。
日本国憲法を尊重し擁護する義務を負っているのは、三権分立を担う権力者である…という根本の理解や子どもの教育を受ける権利、教職員の守られるべき権利等について、判例も例に分かりやすくご講義頂き、とても整理できました。
感想(分散会①手作りおもちゃで遊ぼう)
楽しむ中に、「なぜだろう?」という疑問や、「こうしたらどうなるか?」等、考えることがあり、授業(教科書)とはちがう視点からの学びだなぁ、と実感しました。
回転やじろべえ、牛乳パックトンボとガリガリトンボ、落ちないリンゴ、回転するタネのおもちゃ、などを用意した。みんなが楽しんでもらえたらいいな。学校でぜひ、子どもたちとやってみてほしい。
感想(分散会②紙芝居を使った実践)
信澤さんや他の参加者の方々の実践を聞く中で、アナログ教材のもつ人間的なあたたかみを感じました。今の時代に忘れられがちだけど、忘れてはならない大切な部分について見直すことができました。紙芝居、中学生に読み聞かせをしたいと思います。(ワクワク半分・ドキドキ半分です。(笑))
紙媒体であるからと決してデジタル教材に劣ることはなく、紙芝居のもつ教育効果の高さを改めて確認できました。学校や地域での実践報告がこれからも多く寄せられることを期待したいと思います。
感想(分散会③特別支援教育)
松本さんのクラスは、子どもに関わる大人たちがとても仲が良いということが大きなエネルギーになっていましたね。松本先生がスーパーマンなのですが、ぜひあたたかくヘマをする姿をさりげなく見せてあげるといいと思いました。
支援学級の子どもたちの話ができたことが嬉しかったです(なかなか学校ではできないので…)。
特別支援の実践を聞くと、普段の至らなさを痛感します。一方、「こうすればよかったか」という視点をたくさんいただけるので、特別支援の実践の話をもっと聞きたいと思いました。
レポートを読んで、実践が目に見えるようで、とても楽しく心温まる内容でした。また自分が松本先生と似たような場面でやってきたところで、自分が考えていたこと実践したことは間違えていなかったんだと確認することができて、とても嬉しかったです。
前向きにがんばろうと思う気持ちになれました。ありがとうございます。
特別支援の担任を一度経験したことがありましたが、松本先生のお話を聞いて当時を思い出しました。大変なことがほとんどでしたが、その一年間でとても勉強になることが多く、今の指導につながることがたくさんあったな、大変だったけど、楽しくて濃い一年だったとあらためて思いました。
話のスタートから温かい気持ちがあふれていて、涙をこらえながら聞かせてもらいました。松本先生のような先生と一緒に過ごせる子たち、また保護者の方たちは、どれだけ救われるかわかりません。お子さんたちの成長の姿が目に浮かび、明日から私もクラスの子たちと楽しい時間を過ごしたい!!と元気をもらいました。特別支援教育、やっぱり楽しいです!!他の先生方(通常級の先生方)にも、ぜひ体験してもらいたいです。
事例をもとに、皆さんでお話をすることができてよかったです。今回は人数が多いこともあり、話をしづらい方もいたのかなと思いました。小グループに分けて話す時間があると、より深いお話も聞けるかなと思いました。企画・運営をしていただき、ありがとうございました。
レポートに出てくる子どもたちと、成長していく過程を一緒に過ごせていることを嬉しく思います。子ども同士の関わりの大切さを日々感じています。集団のよさは、子どもを見守る大人にとっても同様に言えると思います。子どもにも、一緒に働く先生方にも信頼してもらえるよう、毎日を積み重ねていきたいです。
松本先生のレポートの中で、子どもからの「先生たちみんな仲良し」という言葉が嬉しかったというお話がありました。実際に一緒に働かせてもらっている私もとても嬉しく思います。子どもにそう見えているのは、松本先生をはじめとする先生方が、私たち支援者とのコミニュケーションを日頃から大事にして意見を尊重してくださったり、信頼して子どもを託してくださるからだと思います。日々、大変なことも沢山ありますし、私自身まだまだ未熟でご迷惑をおかけすることばかりですが、このチームの一員として子どもたちの成長に携われることを幸せに思います。また明日から頑張ろうと思える、とても有意義な時間をありがとうございました。