2025年度 確定交渉報告

目次

定年延長と再任用の賃金差別について

県教委回答

人事委員会勧告を踏まえて対応している。差別とは考えていない。

全群教コメント

同じ仕事をしていて60歳を超えると賃金が下がること自体が差別ですが、定年延長と再任用の間にも賃金差別があります。広島県では定年延長と再任用の差を埋める努力をしているので、群馬でも参考にするように言いましたが、そのつもりはないようです。

60歳を超えた教職員を計画訪問の対象から外すなど、負担軽減を

県教委回答

計画訪問は貴重な職能成長の機会。 60歳超の職員の負担軽減について、学習指導案の書き方や事例収集がしやすくなるよう情報を発信していく。

全群教コメント

みなさん、一緒に怒りましょう。

未配置が起こる原因は「労働環境の悪さ」と認めるか

県教委回答

未配置が起こる原因については、臨時教員の登録者数の減少や 多様な働き方に対応できる補助教員が少ないといったことなどが考えらるが、労働環境の改善も必要と考えている。

全群教コメント

今まで頑なに認めなかった「労働環境の悪さ」を渋々ながら認めたことは、一歩前進と言えるかもしれません。

指導主事訪問を「実施しない」という選択肢を示すこと

県教委回答

教員の過度の負担にならないよう、訪問内容の見直し及び訪問時間の縮減、授業参観数の削減、学習指導案の簡素化や形式の変更、提出方法の改善等に取り組む 。 未配置が生じているなど困難な状況にある場合は、市町村教委に相談していただきたい。

全群教コメント

なくせば今すぐ負担ゼロになります。「せめて未配置がある学校にやらせるな」という要求に、「困難な場合は市町村教委に相談せよ」と渋々認めました。「ウチでは実施しません」と、忖度せずに言う校長はいるのでしょうか…

勤務時間の実態を正確に把握せよ

県教委回答

管理職が各教職員の業務の状況をしっかりと把握し、必要に応じて業務量を調整していると認識している。

全群教コメント

群馬の学校では「管理職が業務量を調整している」ため、長時間労働は発生しないそうです。

特別支援学級は「1学級6人以下」複式編制は「2学年まで」とすること

県教委回答

教員は増やせない。特支を増やすと通常級の教員が減る。教職員の加配措置について学校が要望できることを市町村教委及び管理職に周知する。

全群教コメント

意地でも「教員は増やさない」ことを前提としているため、議論がかみ合いません。せめて、8人以下でも加配を要望できることを周知することを確認しました。8人以下でも加配可能であることは以前から合意していましたが、実際に要求すると地教委段階ではねられる実態があります。言ってることとやってることが違います。

発達検査を教員におしつけるな

県教委回答

教育支援に関わる発達検査は専門家によるものが望ましい。発達検査は必ずしも教師の担う必要のない業務であると認識している。

全群教コメント

発達検査は子どもの将来を左右するかもしれない重要な検査です。教員に押し付けて安上がりに済ませることは人権問題であり、明確に「専門家が行う」と規定している自治体もあります。群馬県教委は昨年度ようやく「専門家によるものが望ましい」と認めました。今年度は「必ずしも教師の担う必要のない業務」であることを認めました。半歩前進です。

通級指導にあたる教員数の配置人数を公表せよ

県教委回答

公表すると「あの地域は人数が多いからこちらも増やすべき」など、競争が起こってしまうので公表できない。

全群教コメント

全国学テや新体力テストなど、公表するから不毛な競争が発生します。こういう悪い公表はやめ、「こちらの配置も増やすべき」など、よい教育に向かう公表はすべきではないでしょうか。

特別支援学校の定数内地公臨解消がどの程度進んでいるのか公表せよ

県教委回答

公表は難しいので、ご理解いただきたい。

全群教コメント

都合の悪いことは公表しないと理解しました。

部分休業等を定数外にすること。できないなら、何らかの対策をすること。

県教委回答

定数外にすることは難しい。

全群教コメント

部分休業取得者を「1人」と数えていることがパワハラの温床になっている認識はあるのかを問いましたが、正面からの回答は得られませんでした。

産育休の引継ぎ期間として取得前5日、取得後2日間を保障すること。

県教委回答

必要な日数を規定していると認識している。(教諭:前3後1、事務職:前5後2)

全群教コメント

京都では取得前4日、取得後3日を保障しています。よいところは真似すべきです。

育休取得者が3学期に復帰する場合、代替者を復帰後加配とし、年度末までその学校での勤務を継続させること。

県教委回答

別の学校の産育休補などに任用するなど、柔軟な(「都合のよい」では?)対応ができるよう現行通り。

全群教コメント

3学期途中で担任が交代するのは、教員にとっても子どもたちにとってもマイナスです。奈良では実現している制度です。

週休日をまたいで休暇を取得する際、週休日を休暇日数から除くこと

県教委回答

臨時的任用教職員の病休付与日数について、改善に向けて研究していく。

全群教コメント

週休日を休暇日数から除くことは難しいという回答でしたが、臨時教職員の病休日数を増やすことには前向きな回答を得ました。これは大きな成果だと言えます。絵に描いた餅にならないよう、今後も注視が必要です。

産育休代替に正規職員を充てること

県教委回答

導入に向けた研究・検討を進める。

全群教コメント

これも大きな成果です。法改正がなくても、正規採用を増やすことが可能です。これも絵に描いた餅にならないよう、注視が必要です。

臨時教職員の任用替えの際、自己都合退職扱いしないこと

県教委回答

退職願の記載については、事務手続き上必要なものとご理解いただきたい。

全群教コメント

自己都合ではないのに「自己都合扱いで退職願いを書かせること」は、人間の尊厳を傷つける人権侵害です。

臨時教職員の教採受験は、「年休」ではなく「職専免」とすること

県教委回答

教採受験は個人のものであるため年休が妥当。(他県の状況を確認する)

全群教コメント

群馬で働いている臨時教職員が群馬の教採を受けるのに、なぜ個人の権利である年休を使わねばならいのでしょう。「個人のもの」と言いますが、運転免許の更新は職免になります。質疑応答の中で「他県の状況を確認する」という回答がありました。香川では実現していますので、群馬も続いていただきたい。

教員採用試験において、教員としての資質に関係のない質問をしないこと。

県教委回答

本人に責任のない事柄や思想信条など、基本的人権を侵害するおそれのある質問をしないことを確保し、公正公平な採用選考を実現している。

全群教コメント

数年前までは「結婚(出産)の予定はあるか」「持ち家かアパートか」などの質問がありましたが、全群教が猛抗議を続けたため、今ではないと思われます。しかし「部活は何を担当できますか?」という質問が適切という認識かを問うと、回答を拒否しました。

採用時の僻地誓約をなくし、採用後に労使対等の立場に立って本人の希望を聞くこと

県教委回答

僻地学校の教育能力向上や全県的な教育力の均衡を図る上で必要な制度。

全群教コメント

僻地に配置すること自体を批判しているわけではなく、優越的な関係を背景とし、弱い立場の人間に誓約書を書かせる行為を問題視しています。人権侵害を公的機関が行っていることに警鐘を鳴らしています。予算措置も不要で、決断すればすぐにでも実行できます。

労働基準法や限定4項目、勤務時間条例等、教職員を守るための法令が順守されていない実態を把握し、業務を勤務時間内に収めるよう、管理職を指導すること

県教委回答

適切な運営をしている。

全群教コメント

群馬県の学校では法令が順守されているそうなので、長時間労働は存在しないようです。不思議ですね。

労働安全衛生について、形だけではない実質的な話し合いがなされるための環境整備をすること

県教委回答

職場の 安全又は衛生に関し、 関係労働者の意見を聴く機会を設ける必要性について研修等で管理職に伝えてい く。

全群教コメント

例えば「校務分掌を削減する」などの判断は、各校ですべきものです。それぞれの学校で、労働者の立場から業務削減を提案する場が必要です。

休憩時間や手待ち時間の認識について管理職を指導すること

県教委回答

手待ち時間について周知をはかる。

全群教コメント

「手待ち時間」の概念は非常に重要です。管理職はもちろん、すべての教職員に知ってほしいと思います。

自動的に「45分の休憩をとれた」ことにするシステムをやめること

県教委回答

休憩時間は本来取らなくてはいけないものであるため、現行通り(とれたものとして計算する)。

全群教コメント

「とれないけれど、とらなくてはいけないものだから、とれたことにする」という驚きの回答でした。

「必ずしも教師が担う必要のない業務」である部活動について、校務分掌ではないことを明確に示すこと

県教委回答

必ずしも教師の担う必要のない業務である部活動について、顧問強制のハラスメントがなくなるよう管理職を指導する。希望しない教職員が部活動に関わる必要がない環境を整備する。

全群教コメント

10年前から比べれば、驚くほどまともな回答です。しかしながら現実は事実上の強制が続いています。部活動改廃の権限は、法令上は校長にありますが、上から「部活数半減」などの明確な指示がない限り、「子どもたちのため」というマジックワードで教員に負担が転嫁され続けます。

小学校の教職員が各種大会等に関わる実態を調査し、その負担軽減をはかること

県教委回答

大会に関わる教職員の負担軽減を図る。大会運営等に係る具体的な取組について、群馬県小学校体育研究会や群馬県陸上競技協会等と開催方法を含めた検討をしていく。

全群教コメント

水泳大会がなくなり、大幅な業務削減につながりました。大会をなくさない限り、業務削減はあり得ません。なくせないなら運営を他団体に移行していくよう要求しましたが、そこは絶対に認めませんでした。

標準授業時数を大きく上回る時数設定がないよう、各学校、地教委を指導すること

県教委回答

所管の学校が標準時数を上回って教育課程を編成している場合には、真に必要な時間かどうかを検討し、余剰時間の削減に努めるよう改善を図るよう指導している。

全群教コメント

まずまず浸透してきているようですが、一部の自治体の地教委はいまだに「標準時数を大幅に上回る時数設定」を学校に課しています。

ユネスコの警鐘を重く受け止め、「ICTありき」の教育は子どもの最善の利益に反するという観点から、ICT教育の政策を見直すこと

県教委回答

ICT活用が目的化してしまわないよう、十分留意する。

全群教コメント

ユネスコの警鐘や科学的な研究結果、子どもの権利条約などよりも『日本政府の方針』優先です。「ICTの使用が目的化してはならない」という点だけは認めさせましたが、よほど意識しなければ、現場では使用自体が目的化していくのが必然です。なぜなら国策だから。

新体力テストの悉皆実施をやめること

県教委回答

新体力テストの実施について、組合と意見の相違があることは認識している。実施に係る負担軽減の取組等
について、具体例を示して進めていく。

全群教コメント

新体力テストの悉皆実施は「県平均の数値を上げること」が目的化しています。当組合では「せめて低学年での悉皆実施をやめること」を要求し続けていますが、聞く耳をもちません。文科省が県別数値の公表をやめれば、こんなバカげた数値競争はなくなり、悉皆実施も自然となくなるはずですが…

全国学力テストの悉皆実施をやめるよう、国に要求すること

県教委回答

調査結果を各学校が授業改善に役立てるとともに、子どもたちが自らの学習状況を確認し、個の学びに生かせるよう結果を活用することが重要だと考えている。

全群教コメント

全国学テは元々、「競争意識を高めるべき」という一部の政治家の発言から復活したものであり、「子どもの最善の利益」に反するものです。不正や自治体間の数値競争など、不毛な問題も多発しており、今すぐ廃止すべきものです。本当に「調査」が目的なら、悉皆ではなく、抽出で行わなければ正確な結果は出ません。

少子化を機に学校統廃合を進めるのではなく、少人数学級を実現すること

県教委回答

学校統廃合につきましては、市町村において慎重に審議を重ね、進められていると認識している。

全群教コメント

箸の上げ下ろしまで管理したがる県が、統廃合だけは市町村任せなのでしょうか。統廃合は「配置すべき教員数を減らすことができる」という(県教委にとっての)大きなメリット」があります。

キャリアパスポートの実施を各校の任意とすること

県教委回答

各学校の実態に応じた柔軟な活用を認めており、学校ごとの工夫を取り入れた運用を推進している。意義や効果的な活用方法について、先生方に少しでもご理解いただけるよう、各種会議等を通じて丁寧にお伝えしてまいりたい。

全群教コメント

人事評価や研修履歴は法律で定められているからやめられない。キャリパスは法律で定められているわけではないがやめられない。じゃあ、何ならやめられるのでしょうか?

正当な権利を行使しづらい現状及び管理職によるハラスメントの実態を把握し、指導改善すること

県教委回答

引き続き、休暇等が取得しやすい職場環境の整備に努めていきたい。

全群教コメント

「引き続き」の意味が分かりません。

1年間の不妊治療休暇新設について「今後研究していく」という一昨年度の回答について、その後の研究の進捗について示すこと

県教委回答

引き続き、国や他の都道府県との均衡を保ちつつ、その情報を注視してまいりたい。

全群教コメント

「導入する気があるのか、ないのか回答せよ」と追及し、「現時点での導入は考えていない」と回答を得ました。最初からごまかさずに回答してほしいものです。長野や岡山では導入しています。

組合から要求書が提出された場合、地公法55条の主旨に則り、労使対等での交渉を設定すること

県教委回答

適法な申入れについては、交渉事項であれば対応していきたい。

全群教コメント

「こちらは常に適法に申し入れているが、正式な交渉としないのはなぜか」という質問には回答しませんでした。なぜ行政機関には、法の恣意的な解釈が許されるのでしょう。

CEART勧告を尊重し、労働条件・教育政策をめぐる社会対話に教職員組合の参加を保障すること

県教委回答

CEART勧告を尊重し、対話の場が確保されるよう努めていきたい 。

全群教コメント

CEART(ILO/ユネスコ教員の地位勧告適用合同専門家委員会)からは、教育政策を決める際、教職員組合の参加を勧告されています。「当事者を蚊帳の外において政策を決めるのはおかしい」という、ごく当然のことです。しかし文科省も教育委員会も、絶対に組合の関与を認めません。的外れな教育政策が行われるのも当然です。

Follow me!