太田市休日の部活動地域移行実施計画

2024年1月 太田市が違法な計画を公表
違法な内容を含む、あまりに酷い計画です。例えば
校長は、部活動を校務分掌に位置付け、勤務時間内の部活指導を命じることができる。
そんなバカな話があるはずがありません。全群教は長年の粘り強い交渉で「部活顧問の強要はあってはならない」と、県教委と合意しています。市教委とも合意確認をしています。課外活動である部活動を校務分掌として職務命令を出すということ自体、矛盾しています。
そもそも「勤務時間内の部活」などというものが存在するのでしょうか?
無理やり部活動と関連業務を勤務時間内に押し込んだとしても、他の業務が勤務時間外に押し出されます。「教育課程外の部活を勤務時間内に行い、教育課程内の授業準備や校務分掌などを勤務時間に行う」などというのは本末転倒であり、違法な労働の事実上の強要です。「勤務時間内の部活動」などという寝言は寝てから言ってほしいものです。
大体、教育委員会自身が「部活顧問を命じることは違法である」と認識していたからこそ、校長のお願い、教員の自発的行為として、脱法的に部活顧問を強制し続けてきたのです。それを近年、「部活はやりません」と言い出す教員(全群教委員長)が出てきたから、「職務として命令できる」と言い出すとは、歴史的経緯も交渉の結果も無視した単なるハラスメントです。
学校教育が目指す資質・能力の育成を図る部活動指導は、教職員の業務の一環である。
違います。
この文言には「部活強制はおかしい」と言って、部活顧問を断る教員を黙らせようという意思を感じます。
指導要領を読めば分かりますが、部活動は「やってもよいもの」であり、やるのであれば「教育の一環として行うこと」というものです。「教育の一環」という文言の本来の主旨は「教育の範囲を逸脱して、過熱してはダメ」ということです。「教職員の業務の一環なのだから文句を言わずにやれ!」という太田市の態度は、指導要領の誤読です。もし「業務なのだからやれ」というのであれば、予算と人をつけ、業務として確立してから言うべきです。「金は出さない。人はつけない。業務だからやれ」というのは筋が通りません。
休日の部活動の地域移行後、地域クラブ活動を1つの校務分掌として扱い、教職員の分掌及び負担の平準化を図る。
学校の業務は月~金と条例で決まっています。それを太田市だけは土日の部活を業務とし、しかも休日の部活に関わらない教員は平日の校務分掌を重くするというのです。「太田市は群馬県の条例を無視します」と宣言しているようなものです。「部活指導は教職員の業務」とか、「休日の部活を校務分掌とする」とか、この原案を考えた人は法令ではなく、自分の思い込みを根拠にしています。『太田市部活動運営の在り方検討委員会』という合議体が出した文書ですが、本当に合議がなされているのでしょうか。合議しているのに、この文書の違法性を指摘する人がいなかったのだとすれば、その合議に意味はありません。
部活動指導員の時給は1600円とする。
それ自体は構いませんが、教職員が従事する場合は時給900円(上限3時間=2700円)なので、違いが生じる理由を示すよう求めました。
2024年6月 質問書を提出
あまりに酷い計画に対して抗議し、質問書を提出しました。
- この計画はあくまで仮の案であり、「強制力をもたない」という理解でよいか?
- 違法な部分もあるもので、独り歩きしていく危険がある。取り下げるべきではないか?
- 教委と組合との合意事項に反する部分があるが?
- 「勤務時間内の部活」というのは、県教委が示すハラスメント指針「実現不可能・無理な業務の強要」に当たるのではないか?
- 当事者のいないところで勝手に決めるから、こんな酷いものになるのではないか?
- 以前とった部活アンケートはどう反映されているのか?
- 休日だけでなく、平日も教職員が携わるか・携わらないか選択できるのが当然では?
- 部活の改廃は教委が決めることではなく、学校の裁量では?
- 教職員と部活指導員の報酬の違いが生じる理由は?
- 休日に部活をやる教職員は、平日の勤務を免じられるということ?
- この文書、違法ですよ?
質問書を提出した後、回答を催促していましたが、回答のないまま時間が過ぎていきました。
「回答しようがなかった」というのが本当のところでしょう。全群教の主張をしりぞけるには「適法である」ことを示さねばなりませんが、どう屁理屈をこねても「違法である」ことは覆せません。であれば組合の要求通り、一度取り下げて再検討すればよいのですが、そんなことをすれば、これを決めたエライ人がヘソを曲げてしまいます。市教委の事務局は板挟みとなって困っていたのだと思います。
2026年1月 市教委からの回答
2025年12月、太田市教委から「質問に回答したい」と電話があり、2026年1月に交渉が設定されました。なんと、質問から回答まで1年半です。
結果的には、違法な部分はすべて削除され、ほぼ全群教の主張通りに改訂されました。対応も、以前の木で鼻をくくるような態度とは違い、非常に丁寧でした。
実はこの間、太田市では大きな変化が起こっていました。2025年4月に市長が交代し、併せて教育長も交代したことが、この対応の変化につながったのではないかと考えています。
本来は市長や教育長が誰であろうと、法令に則って物事を決めるのが「法の支配」です。そして誰もが対等な存在として議論し、合意できる一致点を見出していくのが民主主義です。
残念ながら日本では、権力者の気分で物事が決まる「人の支配」の部分が大きく、議論よりも「鶴の一声」が優先されます。全群教が問題点に気づき、声をあげていなければ、この違法な計画がそのまま現場に降りてきて、ますます部活の異常性が強まるところでした。
高崎の7時開門問題にも言えることですが、現場の教職員の意見を聞かずに、一部の「エライ人」の思い込みで勝手に決めるから、こういう問題が起こります。事前に相談してくれれば、「こういう問題があるので、ここは変えた方がいいですよ」と言えるのに、先に発表しちゃうから対決的にならざるを得ません。CEART勧告にあるように、教職員組合を尊重すれば、よりよい学校にしていけるんですけどね。


