2022年度 確定交渉結果報告

2022年度の確定交渉結果報告です。夏休み前から準備を始め、最終回答が11月22日。約4カ月の長丁場です。毎回の交渉時間は1時間程度のため、要求項目を絞らざるを得ませんが、粘り強く交渉し、少しずつ前進を勝ち取っています。ぜひ交渉内容を現場で生かし、労働環境・教育環境の改善につなげてほしいと思います。

県教委回答

教職員の未配置は喫緊の課題と捉えている。各市町村教育委員会および各教育事務所と連携しつつ、県教育委員会として未配置の解消に向け、具体的に取り組んでいきたい。

全群教コメント

未配置カウントされていなくても、疲弊して短期の病休を取得する人やコロナ濃厚接触者となり勤務できない人も増えており、数字以上に現場は逼迫している。抜本的な対策(異常・違法な労働環境の正常化)を要求するとともに、緊急的な対応として、(本当に喫緊の課題と捉えているならば)指導主事を派遣するなど、あらゆる手段を講じて、具体的に対策をとるよう強く要求。

教職員の長時間過密労働の解消について

県教委回答

教職員の多忙化解消は最重点課題の一つと認識している。また、教職員の勤務実態の把握に努め、業務の精選を推進するとともに長時間労働の改善に向け、県教委として取り組んでいきたい。

全群教コメント

時間外に及び、限定4項目に当てはまらない違法な業務が恒常的なものとなり、本来業務を圧迫している。つまり長時間過密労働の根本要因は法令が守られないことにある。交渉の場で具体的な業務内容を示し、「県教委はこれらを教員の本来業務と考えているのか」認識を示すよう要求。当局は答えず。そもそも法令を守れば、長時間過密労働は起こりえない。

時間外労働について

県教委回答

臨時又は緊急にやむを得ない場合の時間外勤務については、適切な配慮をするよう、管理職への指導を徹底したい。

全群教コメント

勤務時間内に業務が終わるよう労務管理するのが校長の仕事。限定4項目はあくまで特例であり、その際も正規の割振りを、その週のうちに取らせる義務がある。また緊急やむを得ないことがあった場合には 「適切な配慮」 が必要であることを確認。

30人以下学級の実施について

県教委回答

30人以下学級の必要性は認識しており、引き続き、国に要望していきたい。

全群教コメント

全群教が長年要求してきた30人以下学級について、県教委も「必要性を認識」と認めた。具体的に行動することを要求。

特別支援学級の学級編制基準について

県教委回答

特別支援学級の学級編制基準の引下げの必要性は認識しており、引き続き、国に要望していきたい。また、特別支援学級への教職員の配置については、学級や児童・生徒の状況を確認した上で、必要に応じて配置できるよう努めていきたい。

全群教コメント

全群教は長年、せめて「1クラス6名まで」「複式は2学年まで」を要求してきた。今回は、8人という人数ありきではなく、その「必要性に応じて教職員を配置」する努力を約束した2017年度の合意を再確認。

特別支援学校の教員配置について

県教委回答

今後も特別支援学校における教員の配置について、適正な採用数の確保に努めていきたい。

全群教コメント

特別支援学校は定数内地公臨比率が高いが、今後も特別枠で採用することを確認。

ICT教育における保護者負担について

県教委回答

端末の買替えや通信環境の整備を含めたICT環境整備については、要求の趣旨を踏まえ、国に対して十分な財政支援措置を講じるよう今後も継続して要望していきたい。

全群教コメント

国策で導入したICT機器だが、買替え時期に予算がつくかどうかは不透明。その際、保護者負担によって賄うことがないよう、強く要求。

教職員の研修等について

県教委回答

指導主事訪問の回数の削減や訪問時間の短縮、訪問内容・指導案の簡素化など、学校現場の負担軽減に継続して取り組んでいきたい。

全群教コメント

大きな負担である指導主事訪問について、具体的な削減方法にも言及。略案はA4で2ページと確認。全群教は指導主事訪問ではなく、自由で自主的な研修の時間と教師の裁量を保障するよう要求。

初任者研修について

県教委回答

初任者研修の実施においては、今後も指導案の作成数など指導内容について周知し、学校現場や受講者に過度の負担とならないようにしていきたい。

全群教コメント

初任者に、略案を含め年間30本もの指導案を書かせ、過度な負担になっている例を示し、改善を要求。教委は過度な研修を求めてはおらず、具体的な校名を示せば改善指導することを約束。

「全国学力・学習状況調査」について

県教委回答

学校現場や教職員への負担が明らかになった場合には、対応を検討していきたい。

全群教コメント

県教委も「問題があること」自体は認識。全群教は全国学テに参加しないよう要求。百歩譲って実施するなら、悉皆ではなく抽出で行うよう、引き続き要求。

部活動の位置づけについて

県教委回答

部活動の顧問については職員の意向を十分配慮し、顧問を強要することのないよう管理職を指導したい。

全群教コメント

法令上、部活顧問を強制できないことは明白。しかし実態は同調圧力によって強制がなされている。全群教は「過剰な部活数を削減し、部活をもたない教員がいる状態が普通」となるよう、教委が指導力を発揮することを要求。

今後の学校における部活動について

県教委回答

部活動の負担軽減に向け、引き続き協議を進めていきたい。また、協議内容については積極的に情報提供していきたい。

全群教コメント

部活動の地域移行が決定されて久しいが、現場の状況に変化はなく、見通しも示されておらず、多くの教員が不安に感じている。今後のロードマップを示すよう要求。

高校入試制度について

県教委回答

事務手続きの改善など、引き続き教職員の負担軽減に向けて取り組みたい。また、制度の変更点については、現場に混乱が生じないよう留意していきたい。

全群教コメント

煩雑な高校入試事務は中学校教員にとって大きな負担である。制度変更の際は、有識者会議で一方的に決めるのではなく、現場の教職員の意見に耳を傾けることを要求。

教員採用試験について

県教委回答

法令や指針等に則った適切な採用試験の実施に努めていきたい。

全群教コメント

結婚の予定を聞くなど、不適切な質問があったという報告が多数ある。教員の採用を決める試験で、教員の資質と関係ない質問をしないよう、コンプライアンス強化を要求。

定年引上げについて

県教委回答

定年引上げに関する事項について、合意に至らないのは残念である。今後も職員団体と協議を継続しながら運用していきたい。

全群教コメント

同一労働同一賃金の原則を真っ向から否定し、同一の労働で7割の賃金とする制度は到底容認できない。さらに、管理職経験者に優遇措置を与えるなど差別的であり、金額の多寡の問題だけではなく人権を侵害する制度である。

教育委員会からの提案事項について

県教委提案

(1)今年度の給与改定については、人事委員会の勧告どおり実施する。
(2)通勤手当については、手当額及び改定時期の見直しを行う。
(3)配偶者出産休暇については、対象期間の見直しを行う。
(4)再任用職員に係る給料の調整額及び管理職員特別勤務手当については、見直しを行う。
(5)旅費については、計算方法の見直しを行う。

全群教コメント

不十分ではあるが、一定の改善であると理解し、受け入れる。

1年間の不妊治療休暇新設について

県教委回答

有給の出生サポート休暇を6日間から10日間に拡充したばかりであり、考えていない。本県は近隣の県と比べて充実している。

全群教コメント

ストレスフルな労働環境の中、不妊に悩む教職員は多い。本当に必要なのは数日の休暇ではなく、精神的なゆとりをもって暮らせる環境。近隣の長野県では1年間の不妊治療休暇(無給)を認めている。先進的な取り組みから学ぶべき。

県教委最終回答(PDF)

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