2023人事委員会勧告

10月10日 群馬県人事委員会勧告

勧告の概要

群馬県人事委員会勧告について(声明)

 本日、群馬県人事委員会は「職員の給与等に関する報告及び勧告」を行いました。今回の勧告について、全群馬教職員組合の見解は以下の通りです。

 勧告では、今年4月の月例給について、民間給与が職員給与を2,932円(0.80%)上回ったことから、若年層に重点を置いた給料表の引上げ改定を勧告しました。特別給(ボーナス)についても、0.10月分引き上げ、年間4.50月とするとしています。名目賃金の引上げ自体は評価すべきものとはいえ、近年の物価高騰による大幅な生計費の増加に対応するにはまったく不十分であり、実質賃金で見れば引下げです。公務労働者・教職員は地域の主要な消費者でもあります。その消費者の実質賃金が下がるということは、地域経済にとっても打撃です。公務労働者・教職員の生活実態をかえりみない実質的な賃下げ勧告に対し、抗議の意を示します。

 そして、それ以上に問題なのが「給与制度のアップデート」への言及です。人事院が示した、役割や活躍に応じた処遇によって組織パフォーマンスの向上を図るという方向性は、「誰がより優秀か」を競わせることにつながり、全体の奉仕者たる公務員にはそもそもそぐわないものです。とりわけ教職員に関して言えば、チームとして子どもたちの最善の利益を目指しているのであり、「誰がより重要な役割を果たしたのか」という評価を持ち込めば、教育の本質から外れていきます。労働者同士の分断を招く「給与制度のアップデート」に強く反対します。

 「職員の勤務条件等に関する報告」では、能力・実績に基づく人事管理、公正な人事評価やきめ細やかな指導・助言、効果的な研修の実施などが組織力向上に資するとあります。しかし学校で、教職員が評価ばかりを気にして仕事をすれば、子どもたちの最善の利益よりも、上からどう思われるかが仕事の動機となってしまいます。この報告に強く抗議します。

 時間外勤務の縮減、柔軟な人員配置、人員確保が必要という報告はその通りです。しかし学校現場の実態は人員確保どころか「未配置」がますます拡大しており、それが新たな疲弊と病休者の増加を招いています。時間外勤務を前提とした労務管理をやめること、そして抜本的な改革による柔軟な人員配置と、業務量に見合った教職員の大幅な増員を強く求めます。

 ハラスメント防止対策が必要という報告もその通りです。しかし、ハラスメントをしている人間はその自覚がなく、今の対策では改善が期待できません。ハラスメントを受けた人が声をあげられる環境と、現実的な救済につながる仕組みづくりを強く求めます。

 全群教は、教職員をはじめすべての公務労働者の生活改善につながる賃金引き上げと待遇改善、とりわけ臨時教職員の大幅な待遇改善を基本要求にかかげ、その実現のために民間労働組合や市民団体と共同します。また同時に、憲法と教育、国民のいのちとくらしを守り、基本的人権である労働基本権の全面回復をめざすたたかいに引き続き全力を挙げる決意です。

以 上  

2023年 10月 10日

                                全群馬教職員組合

9月20日 人事委員会勧告に関する要請書

要請書

要請書手交時のあいさつ

 人事院勧告が出た直後には、「今年の人勧は大幅アップ」というような報道がなされ、一部では「新たな財政負担が生じる」などと、公務員を敵視し、世論をミスリードする記事もありました。

 確かに、近年にない引き上げは、人事院の方々に力を尽くしていただいた結果であろうと思います。しかしながら、近年の物価高騰、とりわけ電気代や燃料代の値上げを考慮すれば、実質賃金の引き下げであることは紛れもない事実です。

 公務員は、地方経済に大きな影響を与える消費者でもあります。群馬県の経済のためにも、県人事委員会におかれましては、人事院勧告を大幅に上回る勧告を出していただくよう、強く要請します。

 また、今回の人事院勧告では「給与制度のアップデート」が大きな問題だと考えます。5 月 16 日に出された、自民党の「令和の教育人材確保に関する特命委員会」の提言にあった、メリハリある給与体系の構築を受けてのものだと思われますが、これは教育現場に能力主義・実力主義を持ち込むものです。

 残念ながら、いわゆる「優秀な教員」が、「優秀でない教員」を見下す場合があります。この場合の「優秀な教員」とは、長時間労働をバリバリこなし、児童生徒を思い通りに管理して、校長から高く評価される教員です。しかし実際の学校現場では、一見頼りない教員が、子どもたちの心の拠り所となっている場合もあります。子どもたちにとってどんな教員が必要なのかは、単一のモノサシでは測れません。

 単一のモノサシで測れないものに、給与という単一の評価を与えることは、今すでにある「優秀な教員」「優秀でない教員」という差別にお墨付きを与えることになり、子どもたちの成長にとってマイナスでしかないと考えます。

 こうした現場の実態も考慮した上で、勧告を出していただけるようお願いします。

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