5月1日はメーデーです

メーデーとは何でしょう?

メーデーってあれでしょ?
ドラマとかで見る「メーデー、メーデー!」ってやつ?

ちがいます

あれはフランス語で「m’aider」、英語で言うと「Help me」に当たる言葉だそうです。

5月1日のメーデーと言えば「May Day」です。
元々は、ヨーロッパの伝統的な祝祭である「五月祭」を意味したようですが、現在では世界各地で行われる労働者の祭典を「メーデー」とよびます。

なぜ5月1日なの?

時は19世紀末のアメリカ。
幌馬車を連ねてフロンティアを目指す西部開拓時代は終わりを迎える。大量生産方式による資本主義生産様式の下、労働者たちは低賃金・長時間の労働を強いられ、貧富の格差は拡大していった。

1869年、フィラデルフィアの仕立工数人により発足した労働組合は職種、熟練・不熟練、人種の差も超えて、広く労働者を組織した。彼らは「労働騎士団」と名乗り、絶頂期には70万の組合員を擁した。

労働者たちは「8時間は仕事のため、8時間は休息のため、そして残りの8時間は俺たちの好きなことのため!」と歌い、8時間労働制を要求した。

1886年5月1日、8時間労働を求める運動の高揚は頂点に達し、34万人の労働者がストライキや集会、デモなどに参加した。労働者たちは、自分たちや子どもたちが、当たり前の人権を手にできる社会を夢見て闘った。しかし…

5月3日、労働者4名が警官に殺される事件が起こった。翌4日に抗議集会が催されたが、警官隊が解散を命じて侵入、そこで突然ダイナマイトが爆発した。これをきっかけに衝突が起こり、警官側7名、労働者側4名が死亡、多数の負傷者を出した。犯人は判明しなかったが8名が逮捕され、1名が獄中で自殺、4名が絞首刑となった。

1889年、第二インターナショナル(国際的な労働者組織)は、このアメリカの労働者の闘いを記念して5月1日を労働者の国際的連帯の日と定めた。

参考『労働組合とは何か』木下武男(岩波新書)

これがメーデーの起源です

日本のメーデーは?

日本初のメーデーは1920年5月2日(翌年からは1日)に上野公園で行われました。およそ1万人の労働者が8時間労働制などを求めました。

戦争中は禁止されていたメーデーですが、戦後の1946年、「働けるだけ喰わせろ」をスローガンに再開されました。

現在は労働基準法(1947年制定)に「使用者は労働者を8時間以上労働させてはならない」と明記されていますが、これは労働者たちの長い闘いと尊い犠牲によって勝ち取ってきた権利なのです。

 

ところで、授業で「労働基準法で、8時間以上働かせてはいけないと決まっているんだよ」と話すと、子どもたちは指を折って何かを数え始めます。自分のお父さんやお母さんが何時間働いているかを数えているんですね。

そして気づきます。
「先生、ウチの親、8時間どころじゃなく働いてます。これって法律違反じゃないですか?」

「労働基準法」という語句を暗記させ、テストで答えられたとしても、それは単なる文字の羅列に過ぎません。一方、疑問をもって自ら学んだ知識は、その人の人格の一部になります。

疑問をもつことで、深い学びにつながりますね!

あれ、学校の先生も8時間どころではないな・・・
疑問をもったら、ぜひ一緒に学びましょう!

なぜメーデーは祝日じゃないの?

メーデーは国際連合などによって定められた国際デーとなっており、「Labor Day(労働者の日)」として、世界の80ヶ国以上で祝日とされています。

しかし日本では祝日とされておらず、カレンダーによっては「メーデー」という記載さえありません。一体なぜでしょう?

よく言われるのが「11月23日に勤労感謝の日があるから」というものです。祝日法によると、勤労感謝の日は「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」と記述されています。

そう聞くと、「へぇ、そうなんだ」と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。11月23日は元々「新嘗祭(にいなめさい)」という宮中祭祀です。天皇が収穫を神に感謝し、神からの賜りものとして米を食べる神事です。労働者が人間としての権利を主張する「メーデー」とは、主旨が真逆です。

戦後の日本は「天皇主権」から「国民主権」の国になりました。であれば、「新嘗祭」を祝日から外し、「メーデー」を祝日にすべきでした。

しかし1948年、 祝日法により「新嘗祭」は「勤労感謝の日」と改称され、11月23日が祝日として残されました。日本の祝日は、天皇由来のものが非常に多いのです。

天皇が神に感謝する「新嘗祭」と、労働者が人間としての権利を主張する「レイバーデー」はまったく意味が違うのです。

Follow me!