穿つ=物事の本質を深く掘り下げる(2026年6月12日高崎市議会)

Q:伊藤敦博市議
A:村上正和教育次長

高崎市議会録画配信

5月25日時点で利用があった学校は 58 校中 18 校、児童数が 32 人のみだった。去年の 9月の議会では、「確実に相当数のニーズがある」という答弁だった。3月の議会では 130人の希望があるという答弁だった。しかしいざ蓋を開けてみると、利用者がことのほか少なく、全く利用のいない学校が 40 校もある。利用が少なかった理由を市としてどういうふうに考えているのか。

4月以降、各学校に利用児童数について聞き取りを行ったところ、概ね想定した範囲の児童数で、初日の 4月8日が 31 人、同月 27 日が 35 人、 5月25日が 32 人。事前の希望数と実際の利用人数との差が間に差が生じた理由は、事前の希望を聞き取った時点では、毎日必ず利用させたい方もいれば、その都合で勤務シフトや出張対応など、週1回から月数回利用させたい方もいたこと、また、 4月の転勤や異動の状況を見てみないと正確にはわからないが、その可能性もあるため、希望として申し出た方などもいたためと捉えている。

伊藤市議

130 人に対して 30 人しか使わないのが想定内という計算がよく分からない。ここだけ見ても、やはり事前準備が明らかに不足していたのではないか。計画よりも利用者が少ないのは、「子どもを安心して預けられる環境が整備されていない」「誰も見守りがいない」ということで、預けるのを遠慮した保護者の方がいるのではないか。現にテレビ報道を見て、「誰もいないんじゃ子供を預けるのはやめる」と考え直した保護者もいる。

本市ではいきなり一斉に 58 校全校 7時開門を上から押し付けているが、 7時から開ける必要があるのは 3分の1の学校しかないことを考えると、それぞれの学校の実情に合わせて今まで通りに戻す、あるいは 7時半の開門にしても問題がないと考えられる。市の見解は。

保護者の中には急な仕事のため早く家を出なければならない方がいる可能性もあり、定型的な勤務のご家庭のみならず、保護者の急な仕事のために子供が朝早く学校に来た場合であっても、確実に校舎内に入れる状況を 等しく作っておく必要がある。教育委員会としては、子育てしながら働く親をできる限り支援するため、すべての小学校で7時開門を続けていく。

伊藤市議

そもそも論として、それぞれの学校がどういうふうな状況になっているのか、しっかりした調査も行わずに、いきなり一斉に開門。これをトップダウンで決めたそのスタート地点が大きな問題。「保護者が急に仕事に行くかもしれない」という理由で、誰も来ない40の小学校で朝7時から校務員を立たせるなどという非効率な事業は今すぐ見直す必要がある。

それぞれの学校で早朝登校してきた児童の安全を確保するために、ただ門を開けるだけではなくて、様々な工夫をしているという情報が入ってきている。市としてそれをどのように把握しているのか。

教員の働き方にも十分に配慮し、開門は校務員が行うこと、校務員は開門後しばらくの間、校門や校舎入り口に立ち、登校する児童を迎え入れることを定めているが、それ以外の対応は、あえて統一の制度は設けず、各学校がその実情に応じて柔軟に取り組むこととしている。市教委として、児童の安全確保等に向けて、各学校が具体的にどのような対応や工夫を実施しているかについて、特段調査等を実施する予定はない。

伊藤市議

対応については各学校の実情に応じて柔軟に取り組む。しかし開門時間は市で統一する。これは矛盾ではないか。ある小学校の状況を自分の目で確かめてきた。この学校では7時5分前に校務員さんが出勤。7時5分に校長先生が出勤。7時10分に母親に連れられた低学年の女児が1人登校した。校長先生の話によれば、この学校では早朝登校を希望しているのはこの児童一人だけで、この子については職員の目が届くように職員室の隣の部屋で過ごし、7時45分になったら教室に入れるということだった。

たった1人の子どもであっても、きめの細かい配慮がされていることに感心したが、校長先生は大変だ。前回までの市の答弁では、早朝に登校してきた子どもは教室で過ごすということになっていた。もしこの子が7時10分に教室に入れられ、みんなが登校してくる7時45分過ぎまで、毎日1人きりで過ごさなければならないとしたら、どんな気持ちになるか。これはまさに子どもの気持ちに対する配慮が欠けている置き去りと批判されても仕方がないと思う。

3月の議会の答弁では見守りは必要ないと明言し、教育委員会として教職員の早朝出勤は求めないと繰り返しているが、実際の学校現場では管理職の早朝出勤、一箇所に集めての見守りなど、子どもの安全に責任を負って対応している状況が現にある。この間、これまでの経緯を振り返って、改めて事故やトラブルが起こらないうちに、現状のやり直し、現状把握のやり直しから子どもの見守り環境を整えるべきだと考えるが、市の見解は。

これまでも各学校においては、登校してから始業時刻までの間、児童は学習の準備等をして自由に過ごしていた。本取り組み開始後も「これまでの朝の過ごし方の延長である」という基本的な考え方に変わりはない。そのため、見守り員を配置し、特定のプログラムを提供するような預かり事業や居場所づくり事業の実施は考えていない。

伊藤市議

結局、教育委員会としては子どもの安全安心に責任は負わないというふうに聞こえる。

早朝開門の先進事例というのが全国で進んでいる。例えば川崎市長のマニフェスト。「全ての小学校で授業開始前から児童を受け入れる場所を設けることで、校門の前で待つ朝をなくし、保護者の安心と子供の安全を守ります」これは富岡市長のおっしゃっていることと全く同じ。しかし制度設計が違う。

川崎市では、まず 3ヶ月ごとに実態調査を行う。それからモデル事業を数校でスタートし、それぞれの学校に共通したマニュアルを作成する。そして最終的にどういう事業に展開するかというロードマップを作る。これを 1 年間かけて教育委員会と校長会で協議を進めて作る。

川崎市の担当課長に電話をしていろいろ伺った。まだ始まったばかりなので、具体的な成果は上がっていないが、今年度の予算は 2,100万円とのこと。高崎市が校務員さんの時間外手当として捻出しているのが 1,945万円。ほとんど同じ金額である。本市としても今からでもいいので、学んでいただきたい。

前回の質疑の中で、「こんなに反対がたくさんいるのに、どうして事業を強行するんですか?」と市長に伺ったら、市長が答弁に立っていただいて、「これは社会が求めている事業なんだ」と。「学校も協力すべきだ」と。「それが当たり前だ」というふうに考えているということで、私の考え方は『穿ちすぎ』だとおっしゃいました。

穿つとか穿った見方というのは、一般的に言うとひねくれた見方とか、斜めから見た見方ということで、私の考え方がひねくれているのかと確認をしてみました。辞書を引いてみると、穿つというのは「物事の本質を深く掘り下げる」というのが本来の意味なんだそうです。そういう意味では、もしかしたら市長は私のことを褒めてくれたのかなと思いますけれども、この問題についても、これからもしっかりと穿った見方で追及をしていきたいと思います。

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