GW(ゴールデンウィーク)は何故GWなのか?
目次
GWは何故GWなんだと思いますか?
授業冒頭でこんな質問をしてみると面白いかもしれません。
ところで、先生たちはこの質問に答えられますか?
子ども「休みが続くから~!」
先生「何で休みが続くのでしょうか?」
子ども「祝日が多いから~!」
先生「では、何を祝う日でしょうか?」
子ども「・・・」
大抵の人は祝日の由来を知らないと思います。
これをきっかけに授業で調べてみるのも面白いかもしれません。
4月29日 昭和の日
昭和天皇の誕生日です。1948年に「国民の祝日に関する法律」が施行されるまでは『天長節』とよばれており、法施行以降は『天皇誕生日』とよばれました。昭和天皇が亡くなった後は『みどりの日』とされました。
(昭和天皇は戦争の最高責任者であったため)多くの反対がありましたが、国会で法案が成立し、『みどりの日』から『昭和の日』に改称されました。
天長節→天皇誕生日→みどりの日→昭和の日
5月3日 憲法記念日
日本国憲法が施行された日(1947年)です。ちなみに公布は1946年11月3日です。
余談ですが11月3日は、戦前は明治節(明治天皇の誕生日)でした。現在は『文化の日』です。
悲惨な戦争が終わり、「もう二度と戦争を起こさせない」と誓う平和憲法ができました。
GW前に「5月3日が何の日か」だけは、子どもたちに伝えたいものですね。
憲法については、また別の記事で書きますね。
5月4日 みどりの日
かつては、5月3日と5日は休日だけど、4日は平日でした。しかし、「どうせなら4日も休みがいいよね」という世論が大きく、1985年から「祝日と祝日にはさまれた日も休日にする」と法改正され、5月4日は『国民の休日』とされました。しかし4月29日が『みどりの日』から『昭和の日』に変わったことで、5月4日が『みどりの日』となりました。色々不思議です…。
5月5日 こどもの日
元々は男の子の成長を祈る「端午の節句」として祝われていました。端午とは「月初めの午の日」という意味で、「午」と「五」の読み方が同じため、5月5日を端午の節句としたそうです。ちなみに節句とは、季節の変わり目に無病息災などを願って行う行事のことです。
そして1948年、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する日」として『こどもの日』となりました。
これらの祝日に土日が重なって大型連休になるんですね。
あれ、メーデーは?
あれ、ちょっと待てよ。
祝日と祝日に挟まれていれば休日になるんだから、もし5月1日が祝日だったら…
こうなるということですね!!
5月1日って何かあったような…
そうだ、メーデーだ!
「メーデーって知ってますか? 世界では80カ国以上がメーデーを祝日にしているんですよ」と話すと、子どもたちは「いいなぁ、日本も休みにすべきだ!」と言ってきます。
「じゃあ皆さん、タブレットでメーデーについて調べてみましょう!」なんて授業展開もできますね。
ところで先生たちはメーデーを知っていますか?
大人でも知っている人の方が少ないかもしれません。
メーデーとは、世界中の労働者が権利を求め、連帯を確認する『労働者の日』です。
私たちが学校で教えている子どもたちも、いずれほとんどが労働者になります。しかし、日本では多くの人が労働者の権利を知らないまま社会に出ていきます。その結果、「過労死(karoshi)」が国際語となり、ブラック企業という流行語も生まれました。
私たちは、私たちが教える子どもたちを将来過労死させてはなりません。自分の権利を自分で守れる力をつけて社会に送り出さなければなりません。そして、ブラックな働き方が当たり前とされるような社会を変えていかなければなりません。
授業の中でGWについて取り上げて、そんなことを考えるきっかけにするのも1つの「学び」だと思います。
メーデーについても、別の記事で書きますね。
日本は祝日が少ない?
日本人はとにかく忙しい。
「過労死」が国際語になるくらいです。
「それは休みが少ないからだ!」って思いませんか?
意外に感じるかもしれませんが、日本は祝日が多い国です。
元日 一月一日
e-GOV「国民の祝日に関する法律」
成人の日 一月の第二月曜日
建国記念の日 二月十一日(政令で定める日)
天皇誕生日 二月二十三日
春分の日 春分日
昭和の日 四月二十九日
憲法記念日 五月三日
みどりの日 五月四日
こどもの日 五月五日
海の日 七月の第三月曜日
山の日 八月十一日
敬老の日 九月の第三月曜日
秋分の日 秋分日
スポーツの日 十月の第二月曜日
文化の日 十一月三日
勤労感謝の日 十一月二十三日
日本の祝日は16日あります。
※赤字は天皇由来の祝日。明治天皇と昭和天皇の誕生日は今も祝日です。
ちなみにドイツの祝日は10日、フランスは12日です。
ドイツ人やフランス人は、日本人より忙しい?
祝日が少ないということは、ドイツ人やフランス人は日本人より忙しい気がしますよね。でも、ドイツやフランスで「過労死」とか「ブラック企業」とか聞かないのはなぜでしょう?
答えは簡単です。
ドイツやフランスでは
①定時に帰る
②年休を消化しきる
③労働者の権利を守らせる
日本の場合は
①定時に帰らない(帰れない)
②年休を取らない(取れない)
③労働者の権利を守らせない からです。
①欧米の人たちは「労働契約」を重視するので、定時になったら帰ります。学校でもALTの先生は、会議の途中でも退勤時間になれば帰りますよね。契約を守っているのです。
②年休は、使用者からいただく「お恵み」ではなく、労働者が取得する「権利」です。年休は権利なので、取得理由を申告する必要はありません。
昔は、そんな権利はもちろんありませんでした。当時の労働者たちが命がけで勝ち取ったものです(殺された労働者もたくさんいます)。先達が命がけで勝ち取ってくれた年休という権利を放棄してしまうのは、決して美徳ではありません。
海外旅行などでヨーロッパの人と話すと、「1ヵ月の休暇中なんだ♪」なんて言ってきます。あちらではみんな一斉に休むのではなく、職場で調整して、日をずらして長期休暇を取るそうです。日常の勤務も、「人間は病気にもなるし、休むのが当然だ」という前提で仕事を組んでいます。日本のように、誰も休まない前提で仕事を組んで、「誰かが休んだら仕事が回らない」なんてことにはならないのだそうです。
③そして労働者の権利を守らせるのが労働組合です。
ヨーロッパでは、組合に入るのは「特別なこと」ではなく、自分の権利を守るための「前提」です。「組合に入らないの? え、せっかくの権利を放棄するのかい?」という感じのようです。日本では、労働組合に入ることが「特別なこと」のようになってしまっているので、なかなか労働者の権利が守られません。
祝日を増やして「みんなで一斉に休む」よりも、労働組合の力を強めて「定時に帰れる働き方」「年休を消化しきる働き方」「精神的、時間的に余裕をもった働き方」を実現することが大切だと思います。
とはいえ、やはりGWは嬉しいものです。
みなさん、よいGWを♪