「生き生き教育講座」を開催しました

子どもを真ん中に

コロナ以降停止していた「生き生き教育講座」を1年半ぶりに開催することができました。やはりリアルに顔を合わせて、学校のこと、子どもたちのことなどを語り合う時間は大切だなぁ、と感じました。

採用4年目のTさんが、子どもたちとの関わりの中で意識していることや現場で働き始めてから感じた違和感などについて、具体的なエピソードを交えて語ってくれました。

例えば席替えをするとき、「なぜ席替えをするのか」「どうやって席替えをするのか」などをクラスのみんなでじっくり話し合った実践について話してくれました。「みんなで決めて、みんなで守る」という民主主義の一番大切なことを子どもたちに伝える、とても大切な実践だと思います。

今は気づかなくても、子どもたちが大人になったとき「自分は個人として尊重されていた」と気づいてくれるかもしれません。仮に意識しなかったとしても、「自分は尊重されていた」という事実は子どもたちの人格形成に何らかの影響を与えるはずです。

これこそが教育の本質です。子どもたちを威圧すれば、自分の思い通りに動かせるかもしれません。「〇〇先生は指導力がある」と周りの先生たちから賞賛されるかもしれません。

でも本当に大切なのは、誰かに「スゴイ」と認めてもらうことではありませんよね。私たちの教育活動が、子どもたちの10年後20年後の人格形成の礎となることです。「教育を、教師の承認欲求を満たすための道具にしてはならない」という、とても大切なのに、おろそかにされがちなことを再確認させてもらう機会となりました。

組合の存在

指導の名の下、子どもたちの「人格を支配」するような教育の在り方への違和感についても語ってくれました。これは教師になったとき、多くの人が違和感を覚えた部分なのではないでしょうか? でも、いつの間にか慣れていってしまいますよね。

Tさんも「違和感に蓋をして身を任せた方が楽かな…」と考えることがあるそうです。でも組合での議論が自分の頭をクールダウンさせ「やっぱり、おかしいものはおかしい」と、考えを整理し直す契機になっているそうです。この感覚、実は全群教の組合員の多くが感じているものです。

そしてもう1つ、組合に入って良かったこととして「教委と交渉できる」ということも話してくれました。

学校には教委から様々な通知が来ます。それらは「正しいという前提」で学校が運営されていきますが、違和感を覚えることもあるはずです。

その違和感に対して職員室で愚痴をこぼしていても現実を変えることはできません。しかし交渉の場であれば、担当課長に直接尋ねたり、違法な運用を改めさせたりすることもできます。

もちろん要求がすべて通るわけではありませんが、使用者と労働者は主従関係ではなく、人間として対等であることを確認する場でもあります。また、校長が知らないようなことも話し合われるので、通知が現場で誤って解釈されていたら「校長先生、県教委はこう言ってましたよ」と伝えることもできます。

時にはICT教育に全力で逆行してみる

休憩時間には大ベテラン組合員Uさんの「手作りおもちゃ」が参加者にプレゼントされました。

学校では「ICT、ICT!!」と言われますよね。全群教はICT教育を否定しているわけではありませんが、「ICT機器を使うこと自体を目的化し、必ず使えというような圧力を現場にかけてはならない」と主張し、県教委とも確認済みです。

Uさんは休日に森でドングリを拾ったり、変わり種のコマを作ったり、牛乳パックで竹とんぼを作ったり、「教室でどんなことをしたら子どもたちが喜ぶだろう」と常に考えているような人です。

時にはICTに全力で逆行し、こういう大ベテランの先輩からも学べるのも全群教のいいところです。

参加者の感想(抜粋)

「考えると辛くなる、当たり前の感覚でいると辛くなる学校って何だろう…?!」と思いました。どう考えても今の学校はおかしい。子どもが辛くなるのは当たり前。子どもとのかかわりを改めて考えさせられました。

生き生き教育講座に来ると、「今やっていることでいいんだな」と自信をもらえます。久しぶりに実施されてよかったです! 次回も参加します。

改めて、「考えながら毎日を過ごすことは大事なんだな」と思いました。「自分の中に軸があることも大切だな」と感じました。軸があると、子どもとの関わりや先生との関わりの中で本当に大切なことが見えてくるように思いました。

「自分の学校以外の人たちと話ができるのはとっても大事なこと」「自分のいる立場が客観的に見られるのは大事なこと」と言われて、とても4年目の先生の話とは思えませんでした。

若い目線で、でもしっかりした一本の筋を持ち、自分の実践を楽しそうに語っていらっしゃったのが印象的でした。子どもに寄り添う視線・姿勢が大切だなぁと、改めて実感した学習会でした。

久しぶりに研修のようなものに参加できて嬉しく思いました。簡単に作ったり、遊べたりする教材もいただけて、特別支援学級や別室登校の子と一緒に遊びたいと思います。

私自身も新任のときに「困った子は困っている子なんだよ」とベテランの先生から言われ、学ばせて頂いたことがあります。子どもたち一人一人に愛情をもって大切に見ていきたいと思いました。良い機会をいただき、ありがとうございました。

違和感の話、特に刺さりました。つい忙しさの中で人権感覚が麻痺していた所をしっかり考えなくてはと考えさせられました。

本当の研修って

みなさん、お忙しい中のご参加、ありがとうございました。

本当の研修とは、誰かが用意した正解を「与えられるもの」ではなく、教育とは何かという、正解のない問いを「自ら求めるもの」だと思います。そして全群教の学習会は本当の研修であると、自信をもって言うことができます。

日々の仕事だけでも目の回るような忙しさで、「わざわざ休日を使って研修なんかしたくない」と思ってしまいますよね?

でも忙し過ぎるからこそ、時には立ち止まって「自分は何で先生になりたかったんだっけ…」と改めて考える機会がないと、「教育」という本来クリエイティブな仕事が、日々をやり過ごすためのルーティンワークになってしまいます。

「上から降りてきた正解を子どもたちに押し付ける先生になりたいな~、ウヒ♪」と思って教師になった人なんて、一人もいないはずですよね?

ぜひ10月の第2回「生き生き教育講座(内容未定)」にご参加ください。「今まで一度も全群教の組合員に会ったこともないんですけど…」という人も大歓迎なので、お気軽に😉

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