カジノに反対します

なぜ群馬の教職員組合が大阪のカジノに反対するの？

教職員組合の主な目的はザックリ言うと２つです。

①教職員の労働環境を改善する
②子どもたちに民主的な教育を保障する

「じゃあカジノに反対する理由はないのでは？」と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

何故かと言えば、「すべての社会問題はつながっているから」です。不正に対し、「自分には直接関係ないからいいや」と見て見ぬふりをしていれば、社会の歪みが拡大していきます。すると必然的に、労働条件も悪化するし、子どもたちの教育もどんどん歪められていきます。

価値観の違いを尊重することと、不正に対し沈黙することは違います。教育者として、不正に対しては声を上げる姿を子どもたちに示していきたいものです。

価値はどこからやってくる？

「しじみ売り」という落語があります。

この話を聞いた時、「あ、労働価値説だ」と思いました。アダム・スミスやマルクスがとなえた「労働こそが価値を生み出す」という学説です。

しじみは、自然の中で生きているだけでは商品としての価値をもちません。人間の労働が加わることで商品となり、貨幣を媒介として取引されます。つまり、価値の源泉は人間の労働であるということです。

新たな価値を生み出さない

ギャンブルはどうでしょう？

労働で新たな価値を生み出すのではなく、今までの労働で生み出した価値を奪い合い、刹那的な興奮を生み出します。そして終わった後には勝者と敗者が生まれ、敗者の中には人生を台無しにする人もいます。また、一時は勝者になったとしても、そこで終わらずギャンブル依存症になる人も多数います。

「そんなのは自己責任だ。節度をもって楽しんでいる人もいる」という人もいます。それはそうでしょう。

しかし、「自分は大丈夫。人生を台無しにする人がいても、それは自己責任だから知ったこっちゃない」という態度でいいのでしょうか。少なくとも教師であれば、自分の教え子が将来巻き込まれ、不幸になる可能性のあるギャンブルには反対の人が多いだろうと思います。

ギャンブルはエンターテインメント？

「価値を生み出さないというが、芸能やゲームは娯楽という価値を生み出している。ギャンブルもエンタメとして娯楽という価値を生み出している」と言う人もいるかもしれません。

しかし目的と程度が問題です。芸能やゲームは、客から金を搾り取るために作られるわけではなく、創作と表現という目的があり、それを生み出す労働への対価として代金を支払っています。（しかしビジネスの面ばかりが肥大化すると、握手券商法やガチャ課金など、度を越した搾取的手法も生まれてきます。いたちごっこですが、それらはその都度批判していかなければなりません）

一方ギャンブルは、そもそもの目的が創作や表現ではなく搾取です。だからこそ昔から批判され、現在では違法とされているのです。

競馬は？　競輪は？

競馬、競輪、競艇、オートレースは、政府が胴元となっている公営ギャンブルです（totoや宝くじも）。もちろんそれらのギャンブルにも反対ですが、新たなギャンブルを増やすことにはなお反対です。

不思議ですよね。個人がやれば犯罪なのに、国家がやれば新規事業となります。

古代ローマの時代、捉えられたある一人の海賊が大王に対し、「私は小さい船でするので盗賊と呼ばれ、陛下は大艦隊でなさるので、皇帝と呼ばれるだけです」と言った、という話があります（真偽のほどは不明です）。今も昔も、人間のやることに大きな違いはありませんね。

誰かの犠牲の下で誰かが得をする仕組みはおかしい

カジノ建設に邁進しているのはどんな人たちでしょう？

建設・不動産・設計・企業管理・ゲーム関連・IT・金融・セキュリティ等々。つまり、カジノができると儲かる企業と、それらの企業と関係の深い政治家たちです。少なくとも「平和で民主的な社会をつくるためにカジノが必要だ」と考えて進めている人はいないでしょう。

「そんなキレイごとばかり言ってたら、世の中が成り立たないんだよ！」と思う方もいるかもしれません。でも、先生がキレイごとを言わなくなったらオシマイです。

「カジノ反対に賛同する」という方は、署名へのご協力をお願いします。