もともと地上に道はない

教員未配置 31人

今まで全群教は、「教員の未配置人数を公表し、多くの人に今の異常事態を知ってもらうべき。そして教育予算を増額する必要性を訴えるべき」だと県教委に要求し続けてきました。

県教委によると、県内小中学校の教員の欠員は9月1日時点で31人。教員の配置は入学が予想される子どもの数などから決まるが、年度初めに必要数を確保しても休職者が出て、年度途中に不足することがある。

上毛新聞 2022/10/22

現場の肌感覚としては もっと多いと思いますが、公表に踏み切ったことは一歩前進と言えるでしょう。

しかし「WITH コロナ」の社会になってきたことで、新たな問題が出てきています。

例えば、そもそも学校に一人病休者がいて、代替が見つからない状態だとします(そんな学校はザラにあります)。そしてその人がもし、短い病休を繰り返し取っているなら、代替の要求がないので数字上の未配置は0です。

以前から学校は15人分の仕事を10人でやっているような状態でした。一人病休なら9人でそれをやることになり、そこにプラスして誰かがコロナに罹患(あるいは家族が罹患)すると、8人で15人分の仕事をすることになります。こんなことが常態化しつつあるのが実態です。

北欧の学校では、「人間は休むものだし、先生が疲れたら良い教育はできないのだから、先生には余裕が必要」という前提で仕事がデザイン(≒設計)されています。誰かが休んでも「うわ~、Aさんが休んじゃった。どうしよう~」とはならないそうです。

考えてみると日本では、「誰も休まず、みんなが目一杯時間外労働をする」という前提で仕事がデザインされています。というか、そもそもデザインがありません。労働基準法も限定4項目も無視されています。

そして、「誰かが休んだらどうにもならない」くらいに仕事を詰め込んできたツケが、コロナで露呈している状態です。しかし逆を言えば、問題が露わになった今が変えるチャンスとも言えます。

「誰かが休んでも、問題なく仕事が回るような働き方」を目指して、条件整備を要求していくことが大切です。それこそが本当の「働き方改革」ではないでしょうか。

教員不足への対応は?

県教委は本年度から募集に関わる説明会の開催頻度や時期を見直した。教員の仕事の魅力を発信する動画制作なども進め、教育現場での人材確保に力を入れる。

上毛新聞 2022/10/22

「教員が足りない」ことへの対策が
①説明会を増やす
②魅力発信の動画を作る

ちょっと何言ってるかわからない

なぜ教員不足が起こるのでしょう?

労働環境が異常だからです。

「先生になりたいけれど、あんな労働環境ではやっていけない」と、教員を目指さない学生が増えています。先生にはなったけれど、過酷な労働環境や理不尽な同調圧力に心を病んで、辞めていく若者が増えています。(あまり知られていませんが、ICT使用の同調圧力や画一的な教育の押し付けに嫌気がさして早期退職するベテランも増えています)

であれば、教員不足への対策は「労働環境の正常化」以外ありません。まともな労働条件さえ保障されれば、教員が魅力的な仕事であることはみんな知っています。異常な労働環境はそのままで、説明会を増やしたり、動画を作ったりすることに意味があるのでしょうか?

もともと地上に道はない

全群教は「労働環境の改善」を要求し続けています。一人一人の先生が余裕をもって働ける環境を作ることが、結局は教員不足対策にもなります。

また臨時教職員を増やして定数を満たすのではなく、正規採用を増やすことを求めています。採用試験で不合格にしておきながら、臨時という不安定な身分で同じ仕事をさせている現状は重大な人権問題といえます。(この問題には2001年以降、国が教育予算削減のため「定数崩し」を可能にしたという背景がありますが、難しくなるので今回は割愛します)

今すでに起こっている未配置には、指導主事の派遣を要求しています。指導主事が忙しいのは百も承知ですが、「今、子どもたちの目の前に先生がいない」という非常事態への対応の方が重要だと考えています。

(全群教は指導主事訪問自体に否定的ですが)せめて未配置が起こっている学校では指導主事訪問を行わないようにも求めています(形式的には学校側が要請しているので、要請しなければいいのですが…)。「先生が足りなくて目が回るほど忙しいけど、指導主事訪問来てほしい~!」と思う先生が、どれほどいるのでしょう?

「もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」魯迅

労働条件は労使の交渉によって決まるものです。

まずは労働者側が要求を出し、使用者側が回答します。そして、合意できる部分を探して交渉を詰めていきます。労働者側が要求を出さない限り、交渉は始まりません。そして要求を出す権利を法的に認められているのは組合だけです。

私たちは多くの要求をしています。

全群教は、要求によって一致する組合です。要求書を見て、「この要求を実現させたいなぁ」と共感するものがあった方は、ぜひ全群教に加入してください。もちろん組合員であれば、要求内容に意見を言うこともできます。

もともと権利があるわけではありません。組合に入り、要求する人が多くなれば、それが権利となるのです。

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