【続報】高崎市教委交渉
前回の交渉結果
全群教の抗議により、市教委は「必ずタブレットを持ち帰って保護者に見せる」という部分を取り下げ、保護者にも「カード作成は任意であること」を連絡しました。さらに「文書配布は各校の任意」と認め(そもそも「お願い」なのだから任意が当たり前ですが、教委のお願いが事実上の命令となっていることが問題です)、私たちもその対応には謝意を示しました。記事を出すときにも『高崎市教委』と名指しせず、『ある市教委』と書きました。
しかしその後の各校長への指示は「全員に必ず配ること。保護者に取得は任意であることを伝える」という、完全な掌返しの内容で許しがたいものであったため、再交渉を申し入れました。
再交渉
再度の交渉で教委は、『情報提供したに過ぎず、広報ではない』『組合の意見に同意はしたが約束はしていない』と、論点のすりかえに終始しました。前回はこちらの主張に耳を傾ける姿勢がありましたが、今回は「一切譲歩しない」という結論ありきの姿勢でした。誰に何を言われてそうなったのかは知りませんが、教育の理念よりも組織防衛を重視する姿勢が非常に残念です。
「マイナンバーカード普及促進に係るお願い」という文書を出し、「かならず保護者に伝わるように」と指示しておきながら、「広報の意思はなく、単なる情報提供である」って、いくら何でも無理があります。無理が通って道理が引っ込むのが行政の世界なのでしょうか。まるで国会答弁のような詭弁です。
粘り強く交渉し、最終的には「今後は市からの要請があっても、市教委としてよく検討する必要がある」ことを認めさせました。教育は決して「不当な支配」に服してはなりません。
マイナンバーカードの是非については様々な意見があると思いますが、保険証の取り上げまでチラつかせて、押し付けるやり方には違和感を抱く方が多いと思います。
「国策だから」と、ご丁寧に『保護者に確実に目を通していただけるように』という指示までつけて、学校が広報したこと自体が大きな問題です。歴史の教訓を軽視する態度であり、不誠実と言わざるを得ません。
おかしいことはおかしい
私たちはことさらに教委と対立したいわけではありません。
しかし「学校が政府の広報をするのはおかしい」という部分は絶対に譲れません。
私たちは、おかしいことはしたくありません。うそをついたりごまかしたりすることもできません。「長い物には巻かれよ」と子どもたちに教えるのはいやです。「おかしいことはおかしい」という姿を見せるのが、大人として、そして教育に携わる者として責任ある態度であると考えます。
マイナンバーカードの普及促進は学校の仕事ではありません。
マイナンバーカードに肯定的な人でも、仕事として「学校で子どもたちに勧めなさい」と命じられることには違和感を覚えるのではないでしょうか? それは公権力が個人の内心にまで土足で踏み込んできているからです。
「何となく変だな」と違和感を覚えるとき、それは違憲である場合が多いのです。
同じ過ちを繰り返さないために
不十分ではありますが、全群教の抗議によって、問題点は認識されました。実際、最初の交渉では教委側も組合の意見に理解を示し、「今後はこういうことがないように気をつける」という点で合意しました。
全群教は教委に対し、同じ教育に責任をもつ立場から敬意をもって接しています。しかし問題はきちんと指摘し、ブレーキをかけるべき時は声を上げます。おかしいことには誰かが「おかしい」と言わなければ、その「おかしいこと」が常態化してしまいます。
そして違和感を放置すれば、必ずエスカレートします。10年後には、軍事費増額のための広報を学校でやらされているかもしれません。
あなたも全群教に加入してください。
「矢面に立つのはちょっと…」という方も、声を上げる人を支えていただくことで大きな力になります。職場の自由、そして子どもと学校教育を一緒に守っていきませんか?