県教委要請行動 2023年10月12日
心理的安全性
学校の労働環境の劣悪さが社会問題となり、文科省から「学校における働き方改革に係る緊急提言」が出されたのが2017年でした。今年が2023年、残念ながら現場の状況が良くなったとは言えません。
長時間過密労働とともに教職員を疲弊させているのが、学校の「心理的安全性の低さ」です。「心理的安全性が高い」とは、安心して思っていることが言える状態です。
学校では、本音では「子どものためにならない」と思っている全国学力テストやキャリアパスポートに対しても、法的に問題のある部活顧問強制や校長のパワハラに対しても、「これは本当に子どもたちのためになっているのか?」「法律的な問題はないのか?」といった議論はありません。異論も議論もないため、物事はスムーズに進んでいきます。
物事はスムーズに進んでいきますが、疑問をもった状態で長時間労働を課されるため、非常に大きなストレスの中で毎日を過ごすことになります。こうした精神的なストレスも教職員を追い込んでいます。限界を超えた長時間過密労働と、心理的安全性の低さからくるストレスで、多くの教職員が精神を病んでいます。驚くほど、病休や退職が増えています。
未配置ゼロでも教員不足
先日の県議会での教育長答弁から、「教員不足26人」と報道されました。私たちはこの間、「未配置を公表し、実態を県民に広く知ってもらうべき」と要求してきたので、公表自体は歓迎しています。
しかし報道は教員不足と未配置が混同されており、現場の切実さが伝わったとは言い難いものでした。実態は、数字上は未配置が生じていない学校でも常に教員不足です。
例えば、うつ症状があって短期の病休をくりかえす教員がいても、(長期の病休でなければ代替配置の対象とならないため)未配置にはなりません。正規雇用の担任が病休に入っても、非常勤職員が任用替えをして担任をもてば、数字上の未配置はゼロです(実際には1人減っているのに)。配置されるはずの支援員さんがいつまで経っても決まらず、サポートのない状態で担任が苦しんでいても、それも未配置ではありません。
教員不足の実感は教職員以外の人には分かりにくいものです。ある方は、お子さんが「今日は校長先生が授業してくれたよ」と学校の様子を話したとき、「校長先生が授業してくれるなんていい学校だね」と言ったそうです。実際は、校長が授業をせざるを得ないほど、教員が不足しているのです。
数字上の未配置がゼロでも、校長が授業をせざるをえない状態になっている学校もあります。いわんや、未配置が生じている学校の苦境はいかばかりか。
学校の実態を多くの方に知ってもらうために、教員不足と未配置は区別する必要があります。
柔軟な人員配置を
全群教は、臨時的・緊急的措置として、「長期研修員や指導主事を未配置校に派遣すること」をずっと求めていますが、教委は「それはできない」と言い続けています。教委が忙しいのは百も承知ですが、「子どもたちの前に先生がいないこと」の方が問題であると、私たちは考えています。
「子どもたちの前に先生がいない」状態を作らないために、現場は限界以上の努力をしています。限界を超えた日々が続くことで、元気だった同僚がうつ病になっていきます。
人事委員会報告でも、「柔軟な人員配置」を求めています。「それはできない」ではなく、「何とかできるようにする」ことを強く求めます。
根本的な解決には
根本的な解決には、やはり先生を増やすしかありません。
県教委は「国に定数改善を求める」と言いますが、お願いするだけでなく、怒りをもって私たちと一緒に要求してほしいものです。現在の教員不足は義務教育費国庫負担金を1/3に減らしたことが原因であることは明らかです。教育予算を減らし、非常勤雇用を増やすことで何とかごまかし続けてきたツケが回ってきているのです。
「義務教育費国庫負担金を1/2に戻すべき」ということに関しては、組合も教委も同じ思いであるはずです。もう学校がもちません。この国策の誤りを、様々な角度から批判し、改めさせるべきです。