#0115定時アクション
目次
定時に帰るために減らしたい仕事
全教構成組織では、#0115定時アクションと銘打って、教職員の長時間労働を世論に訴える運動を一斉に行いました。それぞれの組織で工夫した取り組みを行う中、全群教では「定時退勤したくてもできないのだから、『定時退勤するために減らしたい仕事』をみんなに書いてもらって、訴える」という取り組みを行いました。
すると、出るわ出るわ、みなさん文句も言わずに黙々と仕事をしていますが、実は「これ要らないよ…」と思っているものがたくさん出てきました。そういったものを「見える化」し、共有することで、各職場で減らせる仕事もあるかもしれません。
いただいた意見を
①個人で減らせるもの
②学校単位で減らせるもの
③学校・教委双方に関わるもの
④教委交渉で減らせる可能性があるもの
⑤国の問題(政権交代が必要)
に分類してみました。
校長交渉の参考にしてみてください。
さらに、これを機に学校に安全衛生委員会を作るよう、校長に申し入れてもいいかもしれません。職員50名以上の職場には設置義務があるため、今も一応存在しているかもしれませんが、おそらく機能していないはずです。安全衛生委員会とは、労働安全衛生法に基づいて、職場の違法労働をなくし、労働者を守るための仕組みです。機能させれば、違法労働をなくすための重要な手段になります。
個人で減らせるもの(教員の裁量)
○毎週のクラスのおたより(年度始めの時間割で十分)…学校で統一する必要はないですよね。
○宿題&宿題の丸つけ
○学級通信
○部活(顧問を断る、土日はやらないなど。校長が減らさない以上、法的には、実は個人でしか減らせません)
○運動部・各種大会(当局は本気でなくす気がないため、個人で断るしか方法がありません。みんなで断ればなくなります)
クラス単位で行っているものなどは個人で減らせます。敵は同調圧力と忖度です。校長が学級通信を禁止している学校があると聞いたこともありますが、これは逆に問題です。通信を出すも出さないも担任の裁量です。意外かもしれませんが、神戸市のように「部活廃止」とならない限り、部活は個人で減らすしかありません。全群教は10年以上、「顧問就任は任意とし、部活を指導要領通りの生徒の自主活動として持続可能な活動に転換すること」を提言し、部活問題に取り組んできました。残念ながら当局は、今まで通りの部活を残す前提を崩さないため、後は個人で断るしか方法がありません。部活は、法的には「校長は命じていない。教員が勝手にやっている」ことになっています。今のところ「命じられていないのでやりません」という以外ないのです。
学校単位で減らせるもの(校長の裁量)
◆宿題&宿題の丸つけ
◆定期テストの作成・採点
◆法律の問題(「法律を守れ」という意味でしょうか?)
◆忘れ物は取りに来ないルールにする
◆表彰集会は放送にする
◆給食着をなくす
◆所見をなくす
◆調整の無期限化(本筋は修学旅行などがあった週に振替や割振変更を保障させること)
◆通知表(の文章評価/総合所見・道徳所見・外国語所見)
◆夏休みの作品応募に関する手続き等
◆図工・習字の掲示
◆計画訪問(頻度を減らす)
◆クラブ活動(特にマーチングの行事)
◆面談をした学期の通知表の所見
◆週案(最初に固定で出せばいいのでは…)
◆教育相談希望面談
◆ホームページ
◆集団下校(夏)
◆休んだ児童への連絡(対応)
◆ライン引き
◆部活
◆書初め大会
◆休憩時間の確保(これも「法律を守れ」ということですね)
◆PTAの担当
◆休日にあった出来事の保護者対応
◆登校班
◆学年・学級経営案
◆分掌の仕事
◆PTAの会計事務
◆任意団体(○○研究会)の会計事務
◆年度末に向けて作成する冊子の原稿づくり
◆週予定表…年度の始めに時間割を決めたら、あとは変更時に連絡帳に書く。
◆生徒指導(いつもやる子、指導してもどーにもならない子)⇒「指導した」というアリバイを作るためだけの形式的な指導のことかと思います。
◆ワックス塗り
◆植木などの整美
◆プール掃除
校長の権限は絶大であり、裁量で減らせる仕事は相当あります。ただ、何でもかんでも校長の思い付きで決めると独裁になってしまうので、各学校で安全衛生委員会を設置し、みんなの意見を吸い上げて、議論した上で決めることが大切です。「調整の無期限化」という意見がありましたが、本来宿泊行事などの振替(もしくは割振り変更)はその週にとらせるものです(教育委員会規則第3条)。理由は、超過労働の疲れをとることが目的であることと、週の労働時間が38時間45分と決められていることです。時々「調整は夏休み中にとらないと消滅する」などという管理職がいますが、法令を理解していないと言わざるを得ません。また部活動に関して、設置の権限は校長にあります。だから校長が「顧問のなり手がいない部は設置しない」と決めれば、部活問題は解決します。ただ、それをする校長がいないだけです。茨城県の太田一高では顧問完全希望制が実施されましたが、校長が変わった後、継続しているかどうかは不明です。
学校・教委双方に関わるもの
※定時以降の保護者対応・電話対応
※集金(会計)…学校でなくせるもの・市町村単位のもの
※エイズパネルの作成(時代遅れ)…(学校主体? 市町村主体?)
※服務規律のテストみたいなやつ(学校主体? 市町村主体?)
※プール清掃(業者に頼む予算がないなら校長が教委に要求)
※教員一人当たりの持ち時数減(標準時数より多く設定している場合)
※服務規律チェックシート(法的根拠は曖昧)
※研修等で使用する指導案の作成
※8:15~16:45時間外の対応(登校時刻も)
※保護者対応(遅い時間や学校外での出来事の対応)
※集団研修による授業時間の圧迫
※小学校の金管、中学校の部活
※指導主事訪問(校長が要請している)
※要録所見
※学童保育で教室を使用しているため、授業の準備が遅くまで始められない。
※発達検査は専門家が行うべき(議員などに話すととても驚く)
※トップダウンの、子どものためにならない仕事
※教育活動以外の事務処理など
※作っても誰も読まない書類
※外国籍対応
先生たちは一生懸命仕事をしたいのに、官製研修が教員の時間を奪います。教員を管理しようとするのではなく、信じて自由にやらせてくれれば、先生たちはどんどん自己研鑽します。「自分たちが採用した群馬の教員をもっと信じてください」と私たちは交渉で訴えています。現場から遠いところで「トップダウンの、子どものためにならない仕事」を作って降ろしてくるから、現場はストレスなのです。
市町村教委や県教委との交渉で減らせる可能性があるもの
△就学時健康診断を学校実施ではなく、市教委の方で実施してほしい
△市教委から降りてくる分掌の仕事(書類提出関係)
△計画訪問(頻度を減らす)
△クラブ活動(特にマーチングの行事)
△1人1授業及び授業後の面談(高崎市独自)
△就学時検診
△新就学児の教育支援審査資料作成。(SM社会能力テスト・発達検査)
幼稚園・保育園の子どもの実態を聞き取りして、書類を作成するのは負担が大きい。必要な検査を行うのも日程調整などが大変である。就学時検診から書類提出までの日数も少なく、間に合うかどうか、毎年不安になり、精神的負担も大きい。
△実践研(渋川市独自)
△ISO書類(太田市独自。市教委も、市長の公約だから…」と無駄を認めている)
△必要性が感じられないアンケートへの回答や書類作り
△WISCの検査を通級担当にさせるのはどうなのか…。
△新体力テストの悉皆実施
この辺は全群教が毎年要求しているものです。現場が「無駄だからなくしてほしい」と訴えている仕事は減らさずに、「働き方改革が進まない…」と悩んでいる意味が分かりません。また、発達検査を教員にやらせていることは大きな問題です。教員の負担という問題もありますが、子どもたちの権利保障を考えるなら、専門家に依頼すべきものです。私たちは「教育の専門家」であり、医師でも心理士でもありません。
国の問題(法的根拠や文科省からの圧力があるので、教委との交渉では限界がある)
★全国学力テスト
(「要らない」というより「害悪」なのでなくしたいが、国策として進めているので、よほど大きな反対世論を作るか、政権交代がないと…)
★総合の授業
(これについては歴史的背景を知った上で議論したい。確かに要らないのだが、特活を機能させることが大切。全群教HPで特活・道徳・総合の違いを確認してほしい)
★服務規律チェック…教員未配置こそ服務規律違反では?
★要録(むしろ通知表には法的根拠がないので、そちらなら減らせます)
★研修履歴(教員免許更新制の残滓)
★指導主事訪問(国が教員を縛る手段なので、絶対にやめない)
★夏休み前のストレスチェック(労安法66条)
〈本来事業者は安全衛生委員会(労安法19条)を設置し、労働者の安全と健康を守る義務があるが、そちらはやらずにストレスチェックの仕事を増やしているだけだから不満がでる。〉
★自己申告書(人事評価)⇒これも教員を縛る手段
★キャリアパスポート⇒ブルシットジョブの王様
★学校評価アンケート⇒学校をサービス業にしてしまう
★教員一人当たりの週の総時数が多過ぎる。(基礎定数が少な過ぎる。文科省は目安として、1時間の授業に1時間の準備が必要と認めている)
★圧倒的な人手不足⇒なぜ学校は、こんなに人が足りないの?
★8:15~16:45時間外の対応(登校時刻も)←社会がそれを許容している。
★保護者対応(遅い時間や学校外での出来事の対応)←同上
★1クラス30人学級に
★20人学級に!
★トップダウンの、子どものためにならない仕事
★給食指導・大量プリント印刷(本当の問題は、それすら辛いほどの余裕のなさ)
★授業が多過ぎる。午後の授業がなくなるといい!!(標準時数の削減が必要)
★必要性が感じられないアンケートへの回答や書類作り
★人を増やして空き時間をつくる。
「国が業務を増やしている。人を増やさず、金を出さない」という問題なので、国民が本気で怒らないとなかなか変えるのは難しいところです。後は私たちが「難しいから諦めて沈黙する」のか、「難しいけど諦めずに声をあげる」のかです。日本には約100万人の教職員がいます。このうちの1割が本気で怒れば、変わる可能性は十分あります。アメリカでは、労働組合組織率は10%程度ですが、本気のストライキで賃金を大幅にアップさせています。近年、日本の学校で多少なりとも部活改革が進みつつあるのは、全国で顧問拒否運動が進み、当局も動かざるを得なくなってきたからです。おそらく顧問拒否をしているのは各県で数名ずつだと思いますが、その僅かの人たちが本気で行動したことが現実を動かしています。「国が教育にカネを使わない」という問題も、全国の教職員が本気で怒れば変わるかもしれません。確実なのは、黙っていれば変わらないということです。
その他
「減らせる仕事」はしておりません。だから定時に帰れない方が多くいらっしゃるのです。やらなければならない最低限の仕事だけでも今の状態なので、心と頭と体に余裕がなく、「プラスα」のうるおいある職場にはなれません。職員数を増やして対応する以外、教育の質を落とさずに定時に帰ることはとても困難だと感じています。教員数を増やすことは、教員のため以前に子どもたちのためです。