2024年度 確定交渉報告
23年度と同じだった回答に関しては24年度の回答から抜いてあります。(当然、前年度までの合意事項は今年度も生きています)
目次
教職員の未配置について
県教委回答
喫緊の課題と認識しており、欠員が生じないよう、最大限の努力を講じていきたい。
全群教コメント
毎年毎年「喫緊の課題」と言っています。こちらとしては「指導主事を減らして現場の教員を増やす」などの提案をしていますが、教委の対応は「電話かけを頑張る」「臨時教職員確保のための説明会を増やす」などです。指導主事が忙しいのは知っています。だからこそ、「全国学テの点数をあげるための動画作り」「教員の魅力を発信するための動画作り」などをやめるべきだと考えます。
特別支援学級の学級編制基準の引き下げ及び教職員の配置について
県教委回答
特別支援学級の学級編制基準の引下げの必要性は認識しており、引き続き、国に要望していきたい。特別支援学級の困難さは認識しており、教職員の加配措置については、学校の状況に応じて、柔軟に対応できるよう努めていきたい。
全群教コメント
教委は回答の中で「生産年齢人口が減っているから教員は増やせない。特別支援の教員を増やせば、普通学級に配置する教員を減らさなければならない」と言いました。これは意図的に選択肢を狭めて相手の発言を封じる手法です(「教育予算を増やすと、老人福祉を削らなければなりませんよ。それでもいいんですね?」というような二択)。県教委がすべきは、現場の教職員に向かって「予算がないのだから我慢しろ」と言うことではなく、現場の側に立ち、財政当局に対して「教員を増やすための予算を計上せよ」と要求することではないでしょうか。
教育支援について
県教委回答
教育支援を進める際、発達検査については専門家によるものが望ましい。
全群教コメント
これは大きな前進です。県教委が初めて「発達検査は専門家によるものが望ましい」と認めました。専門家が望ましいのは当たり前ですが、それを認めてしまうと「専門家ではなく教員にやらせている現状が望ましいものではない」と教委が認めることになります。当然、専門家を配置するには予算がかかります。教員に押し付けておけば予算がかかりません。しかし、「人権と予算を天秤にかけること」自体が間違っていると、全群教は主張しています。
教職員の長時間過密労働の解消について
県教委回答
教職員の多忙化解消は最重点課題の一つと認識している。業務の精選の推進など、具体的な多忙化解消につなげていきたい。
全群教コメント
これも毎年言っていますが、一丁目一番地の「部活顧問強制」や、国が進める全国学テやキャリアパスポートなどの無駄な施策はアンタッチャブルです。しかし本来、学校のことは各学校で決めるものです。教委が「やめろ」と言わないからやめない、ではなく各学校で「これはおかしいからやめましょう」と声をあげるのが本来の姿です。逆に、校長の一存で学級通信を禁止している学校などもあるようです。これは個々の教員の裁量に介入する越権行為です。教師が子どもたちのためにどんな教育活動をするのかは、教師自身が決めることです。
部活動について
県教委回答
必ずしも教師の担う必要のない業務である部活動の負担軽減を進めていきたい。
部活動の顧問については職員の意向を十分配慮し、顧問強制のハラスメントにつながらないよう管理職を指導するとともに、希望しない教職員が部活動に関わる必要がない環境を整備していきたい。
全群教コメント
全群教はずっと部活問題に取り組み、2018年に「顧問の強要はあってはならない」という回答を得ました。しかし、この合意に則って顧問就任を断っても、校長から「やってもらわないと困る」などと圧力を受け、顧問をもたされ、病気になってしまった人もいます。怒鳴らなくとも、これはパワハラです。今年度は「顧問強制のハラスメントにつながらないよう管理職を指導する」という文言が入りました。
部活について考える
教職員の研修等について
県教委回答
教職員の研修等については、教職員自身の主体性を十分に尊重し、研修が負担にならないよう、管理職に周知徹底していく。
全群教コメント
全群教はずっと「押し付け研修をやめろ」と言っていますが、教委は「先生方の負担を減らすために授業のマニュアルをたくさん作ります(意訳)」という回答をしてきます。教師は時間と裁量さえ保障されれば自ら学び、どんどん授業を工夫します。それは教師にとって喜びでもあります。私たちは「もっと授業に手間暇をかけたい」のです。しかし現状は教師から時間と裁量を奪い、「負担を減らすため、授業マニュアルを用意しました」という状態です。教師の仕事の中で、もっとも創造的で魅力的な部分、つまり「やりがい」を奪っているのだから、教員不足になるのは当然です。
新体力テストについて
県教委回答
新体力テストの実施について、組合と意見の相違があることは認識している。
全群教コメント
全群教はずっと「悉皆実施をやめよ。せめて低学年だけでもやめよ」と要求しています。なぜ低学年児童にまでやらせるのでしょうか。「体育の楽しさを伝えることよりも体力テストの方が大事」と教委は考えているということです。小5と中2で全国調査が行われ、県ごとの体力平均が発表されます。そこでのランキングを下げないために小1から中3まで悉皆で練習させているのです。県教委は「種目に慣れさせるため」に必要と言いました。つまりは大人の都合です。
「全国学力・学習状況調査」について
県教委回答
本調査の目的が競争主義に陥らないようにするべきということは共通の認識である。
全群教コメント
そもそも全国学テは、一部の政治家の「子どもたちに競争させろ」という主張に対し、文科省が「さすがに競争主義はまずいので、指導に役立つものにしましょう」として折衷案をとったものです。その結果、「普通のテストを全国で統一して行う」という、恐ろしく非効率なものとなり、莫大な税金と教員の労働力を浪費しています。
本来は廃止すべきものですが、教委にその権限はないので「各市町村に『全国学テに参加しない』という選択肢を示せ」と要求しています。教委は「国が決めたことは絶対に正しい」という前提で話を進めるので、何とか「全国学テには意味がある」という理屈を並べようとします。しかし、私たちは「全国学テは間違った政策である」と考えているので、永遠に平行線です。最終的に一致できたのが合意文書にある「競争主義に陥らないようにするべき」という部分だけです。
全国学力テストはなぜ失敗したのか
業務上の過失等による賠償責任について
県教委回答
教職員の職務に関して生じた賠償について、国家賠償法の規定により対応を行うということは共通の認識である。個別の事例については適切な対応を行うよう指導を行ってまいりたい。
全群教コメント
これは今回の交渉の最大の成果です。昨年度までは「個別のケースによる」としか答えなかったものを、明確に「国賠法で対応する」と認めました。具体的な例を1つあげるなら、「プールの水栓を閉め忘れた場合、賠償責任は自治体が負う(故意や重大な過失があれば自治体から求償される)」ということです。「職務中の過失の責任は使用者が負う」のは、労働法の世界では当たり前のことですが、学校という異常が日常となっている空間では当たり前ではありません。当たり前の権利を手にするためには、労働者の団結と行動が必須なのです。
プールの水栓閉め忘れた。賠償請求されたらどうしよう…
ICT教育について
県教委回答
ICT活用が目的化してしまわないよう、十分留意する。
全群教コメント
学校には「とにかくICTを使え」という圧力がかかっています。私たちは「必要に応じて使うべき。そしてその判断は各教師に委ねられるべき」と主張しています。さらに近年では、北欧諸国が「弊害が大きい」として、ICTありきの教育から脱却し、ユネスコも警鐘を鳴らしています。このことについて「県教委としての見解を示すこと」を要求しましたが、国が「ICTありき」の政策を進めているため、教委もそれを踏襲しています。ようやく教委と合意できたのは「ICT活用自体が目的化しないこと」だけです。
休憩時間について
県教委回答
子どもたちを相手にする学校の勤務においては、休憩時間が取りにくい状況にあると認識している。休憩時間を取りにくい状況に十分配慮するように、市町村教委等と連携して管理職へ指導していきたい。
全群教コメント
教員は事実上、休憩時間が取れません。そこで「どうせ取れないのだから気にしない」という人が多数います。ある学校では「授業時間内に休憩時間を設定する」という完全に違法な運用が行われていました。「どうせ取れないのだから構わない」ではなく、「どうしても取れないのだから、何らかの配慮をすべきである」としていかなければなりません。
時間外労働について
県教委回答
時間外在校等時間や持ち帰り仕事の状況について、引き続き、各校の管理職に対し、把握と改善に努めるよう指導していきたい。
全群教コメント
これも毎年言っていることです。まずは部活顧問強制をやめることではないでしょうか。中学校の一番の負担は間違いなく部活です。部活顧問を強制しておいて「労働時間を減らせ」とは、アクセルを踏みながらブレーキをかけるようなものです。「小学校には関係ない」と思うかもしれませんが、中学校に余裕が生まれれば、小学校への加配を増やせます。そもそも小学校は基礎定数自体が少な過ぎます。
研修における自己負担について
県教委回答
研修においては、費用を個人で負担することのないよう努めていきたい。
全群教コメント
初任研・中堅研の群大付属学校公開研において、参加者に自己負担(1,000円)させているという情報が入ったため、教委に問い質し、やめるよう要求しました。「使用者が命じた研修で労働者に自己負担させ予算を抑える」というのはブラック企業の発想です。金額の多寡の問題ではありません。
高校入試の要項について
県教委回答
入学者選抜実施要項について、前年度中に公表することは困難であるが、今後、例年より早めに公表できるよう努めたい。
Web出願の導入年のため、対応する業務が多いことは認識している。 Web出願システムの運用にあたり、トラブル等による不利益が志願者に生じないよう対応していく。
全群教コメント
なかなか合意に至らなかった部分です。今年度、高校入試が突然WEB出願となったことで、現場は大混乱し、大幅な労働強化となっています。「今年からWEB出願」と決めておいて、各学校の担当者への説明会が10月10日。現場の準備が間に合うわけありません。各校の担当者は毎日遅くまで残業せざるを得ない状態です。県教委による見切り発車、拙速な導入が現場を混乱させていることへの反省を文言に入れるよう要求しましたが、拒否されました。口頭で「責任を感じていること」は認めたため、こちらも譲歩し、ようやく合意に至ったのが午前3時15分。WEB出願自体を否定するつもりはありませんが、「準備不足のまま始めて負担は現場任せ」というのは、いくらなんでも無責任過ぎます。
ネット出願にかかわる緊急要求書
教職員の業務について
県教委回答
教職員が様々な業務に従事していることは認識している。管理職がその権限と責任を踏まえて適切に配慮・対応できるよう指導していきたい。
全群教コメント
例えば部活動や朝の交通指導等、教員を本来的な業務でないことに安易に従事させてきたことが教師の業務を肥大化させ、本来業務に力を注げない状況を作っています。教委は「管理職が適切に対応している」と言いますが、適切に対応できていれば、過労死レベルの長時間労働は発生しません。
指導主事訪問について
県教委回答
指導主事訪問実施に当たっては、教員の過度の負担にならないよう、訪問内容の見直し及び訪問時間の縮減、授業参観数の削減、学習指導案の簡素化や形式の変更、提出方法の改善等に取り組んでいきたい。
全群教コメント
私たちは「指導主事訪問は不要」という考えです。個々の教師の創造性と裁量を奪い、「教育活動を指導要領の枠にはめるため」のイベントになっているからです。
1947年に最初に出された指導要領(試案)は、戦中の教育の反省から「先生たちが授業を創意工夫して、自分の頭で考えられる子どもを育ててほしい。指導要領はあくまで大綱」という内容でした。しかし戦後逆コースの中で、「教師が自由や権利などと言っているから子どもが悪くなる」と考える勢力から「授業は指導要領通りにやらねばならない」という圧力が強まり、1958年には「指導要領は法的拘束力をもつ」とされました。さらに、子どもたちの内心をコントロールしようという「道徳の時間」も導入されました。学校現場では、指導要領がまるで日本国憲法や子どもの権利条約よりも上位概念であるかのように扱われています。
教育基本法を知ろう
文書回答のなかったやりとり
全群教の要求
教職員の欠員補充を臨時・非常勤で対応する今の制度を見直し、置籍の研修員を配置するなどの工夫で、未配置に正規職員が対応できる制度をつくること。
県教委回答
欠員補充は常勤の補助教員を充てることが基本。置籍の研修員にはそのための定数や予算が充てられている。未配置対応のための派遣は難しい。
「産育休代替などに正規教員は充てない」と決めているので、臨時教員を充てているということです。だから教委は「臨時教員が足りない」と困っています。私たちは採用を増やして、「正規を充てよ」と言っています。当然それには予算がかかるので、教委から見れば私たちの言っていることは非現実的ということになります。教委も「予算がないから仕方ない」ではなく、「教育予算を増やすべき」という思考をもってもらいたい。それができないなら、研修員や指導主事を欠員補充に回すなど、何らかの手を打つべきだと要求していますが、教委は「それもできない」と言います。
最終回答後、11月24日に出た報道によると、文科省が「正規教員を代替に充てた場合にも国庫補助を出す」方針を固めたとのことです。群馬県教委がその方向に舵を切るよう、訴えていく必要があります。3年間育休を取る人もいるのに、「代替は臨時教員でなければならない」という縛りをかけているのだから、臨時教員が足りなくなるのは当たり前です。
全群教の要求
特別支援学級を8人で運営して、本当に子どもたちのための教育ができると県教委は考えているのか。「国で決まっているから」ではなく、県教委としてどう考えているのか聞かせてほしい。現状が子どもたちのためになっているのか、教育のためになっているのか、意見を聞きたい。
県教委回答
学級編制については標準法で決まっている。「そのままでいいのか」ということは別問題。我々は標準法を基準としている。
「特別支援学級8人は多過ぎる」というのが私たちの主張です。できる・できないは別として、県教委としてはどう思っているのかを聞いているのですが、決して答えません。「私たちも多過ぎると思っているが、予算措置ができないので困っている」と言ってくれれば、同じ方向を向いて仕事ができるのですが…
全群教の要求
部分休業、子育て部分休暇、介護時間等を取得している教職員を定数外とすること。
県教委回答
勤務時間は短縮されているが、一般の職員と同じ職務を想定しているため、定数外として扱うことは困難。
「事実上人が少なくなっているのに同じ職務を想定していること自体が間違っているのではないか」という全群教の主張に対して、教委は「職務が同じ」と言ったのであって、「業務量が同じ」とは言っていないと強弁。この詭弁に対し、発言の撤回と謝罪を2回申し入れましたが、無視されました。
全群教の要求
通級指導教室の全校配置をすすめるとともに、通級指導にあたる教職員数について、国基準の配置を実現すること。また、現状を公表すること。
県教委回答
H29の法改正でR8までの10年間で段階的に13人に1人の割合で基礎定数化が図られている。今後も更なる定数改善について、国に要望していきたい。
全群教は何度も公表を求めていますが、毎回無視されます。「国基準の配置を満たしていないから公表できない」と私たちは認識しています。
全群教の要求
教員採用試験で不合格とした非正規教員に、正規教員と同等の仕事を行わせていることについて、県教委の見解を示すこと。
県教委回答
臨時的任用職員は、常勤職員に欠員が出た場合に任用される。常勤職員と同じ勤務体系で任用される。業務量は、管理職が各職員の業務量を把握し、必要に応じて業務量を調節していると認識している。
教採試験で「不合格」としておきながら、4月から正規教員と同じ仕事をさせるのは人権侵害である。「それならば合格させるべき」という主張に対し教委は「問題ない。管理職が業務量を調節しているはず」と言います。臨時教職員を都合よく使ってきたことが現状の教員不足招いていることへの反省がありません。
全群教の要求
育休取得者の復帰時期が早まるなどして臨時教職員を任用替えする場合、退職理由として「一身上の理由」と書かせるなどして、自己都合退職扱いとしないこと。
県教委回答
事務手続き上必要なものと認識している。ご理解をいただきたい。
理解できません。使用者都合なのに「自己都合」と書かされることに、当事者は傷ついています。「自己都合」とした方が退職金を減額できるからでしょうか。
全群教の要求
臨時教職員の教採受験は、「年休」ではなく「職専免」とすること。
県教委回答
採用試験は「個人によるもの」なので年休が妥当。
臨時として都合よく使い、採用試験では年休を使わせる。違法ではないでしょうが、臨時の方を非常に軽く扱っています。リスペクトを示すべきだと考えます。予算のかからないことくらい実現してほしいものです。
全群教の要求
教員採用試験において、教員としての資質に関係のない質問をしないこと。
県教委回答
面接官に対して研修会を行い、採用試験の面接として相応しい対応の在り方について共通理解を図っている。質問内容についても幅広い視点で構成している。今後も適切な運用に努めていきたい。
結婚や出産の予定、持ち家や子の有無を聞かれた事例があります。全群教が毎年しつこく言っているので、不当な質問は減っているとは思いますが、採用試験はブラックボックスです。第三者の目も入らないため、公平・公正を担保するものがありません。そして、今まで不当な質問をしていたことへの反省もありません。
このことに関しては、不当な質問を防止するために情報開示請求もしています。
全群教の要求
採用時の僻地誓約をなくし、採用後に労使対等の立場に立って本人の希望を聞くこと。
県教委回答
僻地学校の教育力向上や全県的な教育力の均衡を図っている。今後も現行通りの運用とする。
僻地で勤務する人が必要なことは当然理解しています。問題は、職務に関する優越的な関係を背景に圧力をかけ、労働者を対等な存在として扱っていないことです。
全群教の要求
「新たな研修履歴」は廃止すること。
県教委回答
教育公務員法特例法22条の5に基づき、研修等に関する履歴は作成しなければならない。教職員の学びの意欲や主体性を十分に尊重しながら、管理職との対話が展開されるよう、学び続ける群馬の教育サポートマニュアルの対話事例を充実させたり、多様なニーズに応じた研修を検討したりして、教職員の学びに向き合う姿が子どもたちのロールモデルとなるよう支援していく。
そもそも教員免許更新制を導入したこと自体が誤りであり、その代替制度(国は「発展的解消」と言っています)として登場した「新たな研修履歴」も当然不要です。教委は「国は絶対に正しい」という前提で様々な理屈を並べます。しかしそもそも「教育委員会」は戦前の教育への反省から、「教育が国の言いなりになってはならない」という理念で設置されたものです。教委は現場の側に立って、どうすれば教員や子どもたちへの悪影響を最小限に抑えることができるのか、組合と一緒に考えてほしいものです。
全群教の要求
給食費の半額を県費負担とするよう、県財政当局に働きかけること。
県教委回答
学校の設置者が他の施策と合わせて総合的に判断すべきもの。国が給食費無償化にかかる課題の整理を丁寧に行い、具体的方策を検討するとしている。国の動向を注視しつつ、国に対する要望を行ってまいりたい。
これも毎年要求しているもので、県教委の姿勢は「国には要望するが、県には要望しない」というチグハグなものです。知事が反対の姿勢を示しているからだと思われますが、「子どもたちのために必要」と思うのなら、県にも要望すべきです。
全群教の要求
新たな職・級や担任手当等、教職員間の協力と豊かな教育実践を破壊する制度を創設しないこと。
県教委回答
本県では主幹教諭が未設置だが、情報収集に努めながら、今後の方向性について動向を注視していきたい。級については、今後の国及び他県の状況や本県における学校現場の状況を踏まえ、検討していきたい。
事実上ゼロ回答ですが、もっとも重要な要求の1つです。国は教員を格付けし、給与差をつけることを狙っています。優秀な先生(=文科省の求める教員像)は給与を上げ、その原資は優秀ではない先生(=文科省の求めるタイプではない教員)の給与を下げることで生み出すでしょう。教育の成果は数値で測れるものではありませんし、測るべきものでもありません。しかし査定者(=校長)は基準がなければ困りますから、国が基準を作ります。教員は本来見るべき子どもたちではなく、査定者の方を向いて仕事をすることになります。絶対に導入すべきではありません。
全群教の要求
労働基準法や限定4項目、勤務時間条例等、教職員を守るための法令が順守されていない実態を把握し、業務を勤務時間内に収めるよう、管理職を指導すること。
県教委回答
労基法に示された労働時間や限定4項目の遵守については適切な運用に努めている。勤務時間外にやむを得ず勤務せざるを得ない場合には校長が適切な配慮を行うなどの対応を行うよう指導していく。
「適切な運用に努めている」という回答だが、であればなぜ過労死レベルの長時間労働が発生するのか、県教委としての見解を示すことを求めましたが無視されました。適切に運用されていないから要求しているのです。
全群教の要求
「メンター研修」をやめ、教職員が自主的な研修を行うゆとりを保障し、自ら学び、教育活動にあたれる環境を整備すること。
県教委回答
メンター研修については、「効果がある」という声を聞いている。今後も必要に応じて、研修の意義や意図の周知を図っていく。
問題の本質は「メンター研修に効果があるかどうか」ではありません。教師はそもそも学びを求めるものです。教委がすべきは、わざわざメンター研修などと銘打って命じることではなく、ゆとりと裁量を保障することです。そうすれば、教師は自ら学び始めます。「自分たちが採用した群馬県の教員を信じていない」ということが問題なのです。
全群教の要求
新体力テストの悉皆実施をやめること。
県教委回答
種目に慣れさせるためにも全学年での実施が必要。
「種目に慣れさせる」という本音が出ました。小5と中2で行われる全国調査で「県平均順位を落とさないこと」が目的であることは明白です。数値を上げることが、体育の授業の本質よりも重視されています。実に嘆かわしい状況です。
全群教の要求
市町村教委に、全国一斉学力テストに参加しない選択肢を示すこと。
県教委回答
全国学テも日本の公教育を壊している根源の1つです。「教育の効果」という測れないものを単純な数値に変換し、「テストの点数を上げることが教育の成果を上げること」という誤った認識を作り出しました。教育委員会は、こんなことのために学校現場を汲々とさせるのではなく、堂々と国に「こんなものには参加しない!」と言ってほしい。
全国学力テストはなぜ失敗したのか
全群教の要求
昨年度の回答で、1年間の不妊治療休暇新設について「今後研究していく」とのことだった。その後の研究の進捗について示すこと。
県教委回答
R4より出生サポート休暇と名称を変更し、取得日数を6日から10日へと拡大した。引き続き、国や他の都道府県との均衡を保ちつつ、その動向を注視していく。
必要性を認識していると認め、「研究していく」と言いながら、何もしていません。
全群教の要求
学校経営アドバイザー制度を廃止すること。
県教委回答
学校が抱える多様化、複雑化する様々な課題に対して解決を図るため、校長経験者を配置し学校を支援するもの。特に若手教員が教科指導や保護者対応等に苦慮し、年度途中で病休に入ったり、辞めてしまったりすることにより欠員が生じてしまう。こういったことを防ぐためにひとつの助けとなっている。
不要です。
全群教の要求
労働者としての権利行使を萎縮させる、年休や諸権利を制限するような通知を出さないこと。
県教委回答
「学校行事等に伴う週休日の振替等の取扱いについて」は、週休日の振替または割振変更の取り扱いについて周知した者であり、休暇等を制限する内容ではない。
「土曜に学校行事がある場合など、年休を取ること躊躇させるような通知を出した」ことに抗議しました。現場を萎縮させる内容であり、労使の信頼関係を損ねるものでしかありません。自分の子どもの運動会と被ったときなどは、労使の信頼関係に基づく校長との対話によって解決すればよいだけです。それを言い出すことを萎縮させるような通知を出すこと自体が労使の信義則に反します。違法か、合法かの問題ではなく、このような通知自体が不信感を醸成します。労働者を「信頼すべき対等な存在」ではなく、「信頼できない管理すべき対象」と見ていることが問題です。